最近「いいなぁ」と思ったバイクが2台あります。そのうちの1台がこちらの「インディアン・チャレンジャー」

514960d507971f8241b20458ac79f955f046d2f3_xlarge
(オールブラックのチャレンジャー。スタイルが目立つんでブラックが丁度いい感じですね。)

チャレンジャーはとにかく巨大顔が素晴らしいです。もう顔がデカすぎて普通じゃない。このバイクの意図は明確。「同じ土俵で徹底的にハーレー(ロードグライド)を殴る」というコンセプトですね。

2020_Challenger-Dark-Horse-15
(チャレンジャーと銘打たれてますが、じゃあ誰に挑むの?っていうとロードグライド以外にない。それにしてもこの面構えでブラックカラーは完全に悪堕ちしてます。ハカイダーに乗って欲しい。)

デザインを見てみると、ロードグライドより大きく強そうなフロントカウルに電動スクリーンも奢りつつ、差別化のためあえて一つ目。

車体はぎゅっと絞って、威圧感の割に乗りやすく仕上げ、水冷エンジンの優位性により、パワー&トルクをライバルより盛りつけて高回転も回す。車両重量もロードグライドよりも20キロくらい軽量仕立になってます。

5dadcde6d150f
(それにしてもデカいカウル。これならシールドなし、咥えタバコで余裕で走れそう。)

どんな場面でも「ハーレーには絶対に負けないように」っていう執念を感じますよねぇ。写真見ると、横方向のドンガラ部分の大部分がオーディオで、ウーファーとツィーターが音波兵器みたいに並んでる。もうデビルマンの唄風に言うなら「巨大カウルは威嚇力」ってことでしょう。

DSC_0687-665x443
(カウル内部。大口開けたお猿さんみたいで凄い大味ですが、コレがアメリカの功利主義(笑)。「GLみたいに細かいボタンつけたって、どうせお前ら操作無理だろ?」的割り切り。巨大なウーファーはあえて見せてる感じですね。これは間違いなくズンドコ仕様でしょう。)

「フレームマウントのカウルをどこまでデカくできるか実験だぁ」とばかりにオラついてるけど、私的にはかなり好き。要は脳筋、マッチョイズムの権化なんです。細かい理屈並べる前に「メンチビーム発射ぁああああ!」というゴリラ思考がデザインから立ち上ってます。このわかりやすさがアメリカ的で素敵です。




もう一台は「BMWのR18」。どっちかというとこっちがブログの本命。「BMWがこんなとんでもないもの出すのかよ!」っていうくらい攻めてます。ドイツ人って過剰なもの作らせると、やり過ぎを通り越して笑いの世界まで突き進む傾向があるんで楽しい。

big_3082359_202004102251400000001
(なにこれ、メッチャ格好良くないですか?造形的にぶっ飛んだ超弩級エンジンをクラシカルかつ落ち着いたデザインで包んだサジ加減が素晴らしい。現代的でありながら、第二次世界大戦風の雰囲気が漂うところに軍オタホイホイの素養がある。)
big_3082361_202004102254550000002
(正面から見ると、まるで・・下向きのチ○ポ・・。お上品なBMWさんがこんなモノを出しちゃうの・・やだ・・好き♡。シリンダーのフィンは細く、メッキの輝きにも深みがあり、コストかけてるなーって感じる。エンジン周りはとにかく個性的で見せ場が多いバイクです。)

一目見て誰しもが

「オィイイイイイ!!これシリンダーヘッド張り出しすぎでしょぉぉおおおおおお!?(笑)」

と、驚嘆のツッコミコメントをもらすであろう凄バイク。

いやコレもうスペックとかどうでもいいでしょ。フラットツインのシリンダーの張り出しが凄すぎて、他の部分に頭回らないですから。この「怒張しちゃったシリンダーの存在感」「エンジンの無骨さ」がこのバイクの全てですよ。時速300キロ出るから~とか、サーキットタイムが〇〇秒で~というものとまったく違う異次元方向から発せられる、このただならぬ迫力・・。

このバイク、立ちゴケしても倒れようがありません。なぜなら345㎏の車体をエンジンがつっかえ棒のように支えるから。

「え??エンジンってバイクで一番大事なものなんじゃ・・?」って、普通のライダーなら、まっとうな疑問がこぼれ出る。そうですよ、バイクはエンジン逝ったら走行不能なんです。だからライダーとしてはエンジンのヘッドが真っ先に削れてくというのはまさに悪夢。滑りゴケなんかしたら「オー!マイガッ!!頼むからそこで支えるのは止めてぇえええ!!」って絶叫してしまうでしょう。

big_3082363_202004102256500000001
(いやー。この巨大エンジンのマットグレーとシリンダーのブラック、ヘッドのクロームの色使いが素晴らしいですね。メッキ質感も極めて高く、ソフテイルくらいの価格なら同クラス比較でバーゲンプライスだと断言します。)

いや、BMWが丈夫に作ってあるのはわかりますよ。張り出したシリンダーのおかげで足が挟まれないっていう設計思想も良くわかってます。それでもなお、「興奮してそそり立ちゃった男子の象徴」みたいなテカるエンジンヘッドが「大根おろし状態で削れていく」っていう光景はバイク乗りにとってホラー以外の何モノでもない。思わず「はわわ・・」と股間押さえちゃいますよ。

「一番目立つところが一番突き出ていて、一番傷つきやすくデリケート」、長年バイク乗ってきた私でも「さすがにこれは・・・(笑)」と感嘆のため息を禁じ得ない。

まぁ、どんなバイクもコケればどっか壊れるんですが、どこが接地するかってのがイマイチわかりにくいので、そのぶん怖れが緩和されてるところがあります。でもこのR18の接地箇所は誰が見ても1箇所しかない。それが未来の惨事と痛みを明確に予感させる原因なんですね。

あと、空冷1800CCの熱量大放出エンジンのシリンダーヘッドがスネのすぐ前にあるってどうなの??足に熱風が直撃するのは容易に想像できるんですが、これ夏場大丈夫なんだろうか??足湯効果で血行良くなったりするのんか?

まーとにかく見ただけで「どうじゃぁあああああ!!危険な香りをを発するデザインというのはこういうのじゃぁあああああ!!」っていう主張がビンビン伝わってくる。

でも実際、発してるのは「危険な香り」じゃなくて「危険信号」なんですよ(笑)。ある程度の覚悟と熱い魂がなくっちゃこいつには乗れない。まさに男のためのバイクですね。

大型クルーザーの世界をどう捉えるかは人それぞれでしょうが、排気量の上限を取っ払った上で、スピードや性能という呪縛からも自由になったこのカテゴリーに限定するなら、

「トンデモ異形路線」

は十分説得力を持っていると思うのです。

男という生き物の中には、「デカくてエグい方が強いのじゃ!」という概念が根強く存在してます。戦艦大和しかり、重戦車マウスしかり。いつの世も超弩級メカは男の憧れ。最近は「巨大重機萌え」という特殊ジャンルもあるくらい。

エスカベータ
(これぞ重機萌えの頂点。世界最大級の重機「バケットホイールエクスカベータ」。この迫力を前にして、何に使うか?どんな性能なのか?などある意味どうでもいい。クルーザーカテゴリーのデザインも重機萌えに似てるとこがあるんじゃないか?と思ってます。)

バイクは重くなるほど、停車時の乗り手の負担が増える。前に進んでいるときは王様気分だけど、バックを要求された瞬間に奴隷労働に変わるし、倒れだしたら支えることは困難です。一つのバイクに天国と地獄が同居するため、簡単に購入を決断することなんかできません。

心配になってYouTube見れば立ちゴケてピクピクしている人の動画なんかも多数上がってる。自分もそうなるんじゃないか?って悪いイメージが離れない。その葛藤はまるで、「起動実験に失敗して瀕死のレイを横目で見ながら、得体の知れない人型兵器に乗るかどうかの選択を迫られているシンジ君」に似てるかもしれない。

そんなハードルを乗り越えるには、バイクに絶対的な魅力が必要なんですが、変態道に入ってきたベテランライダーを喜ばそうとすると、ちょっとやそっとのトガり方じゃ無理なんですよ。しかし、そんなブチキレたデザインなんて現実にはそうそうできない。商品化するまでに多くの人間が関わる商業プロダクトはいろんなハードルを越える度に丸くなっていって、やがては当初のコンセプトとかけ離れたぼやけたものになることが多いんです。

しかし、この2台は「中途半端はやりません!」という心意気をそのまま最後まで押し通して市販化してる。特にR18は、すでに「世紀のトンデモバイク」として語り継がれるくらいの風格がありますし、このエンジンってこのバイクにしか積めない専用設計ぽいんで、あらゆる意味でメチャクチャ贅沢です。

このクソ真面目でお行儀の良い世の中で、お馬鹿なものを実現させるって、実は凄く難しい。トンガった商品って、販売面からみると一種のギャンブルなんです。そんなものを市販化まで持っていくにはプロダクターの度胸と手腕、情熱と説得力が必要になる。

デビルガンダム5
(異形萌えを追求するあまり得体の知れない邪悪(デビルガンダム)と合体し、バイクですらなくなったという失敗例。アホみたいですが、この手の迷走は割とあるんですよね。)

大きく重く高額なバイクを所有するっていうのは、バイク乗りにとっての冒険です。だから、バイクに必要なのは冒険心。ライバルがいる市場にこれから斬り込もうというのにデザインにもメカにもチャレンジがないバイクなど、ハナから相手にされないんです。それがわかってるから、この2台はあえてこういう方向で攻めてきた。

今のクルーザー市場はそれくらい攻めていかないと入り込む余地がないほどの激戦区ですが、今回の2台はその中でも埋没しない存在感があるんじゃないかと思ってます。しかし、一方で、こういう攻めのデザインは見慣れてくるとデメリットも目立ってくる。いろんな風評に耐えられず、いつの間にかモデルライフを終えるバイクも数多い。しかし、逆風に負けずに作り続けることによって、やがて異形はスタンダードになり、圧倒的な個性として花開いていくわけですね。

R18は懐かしさと現代技術が見事なバランスで融合してて、結構売れるんじゃないかと思ってます。少なくとも私は所有してみたい・・。余裕とカネがあったらですけどっ!!

(嬉しげに通帳を開いて残高を2秒凝視した後、小さくため息をつき、静かに通帳を閉じ眠りにつく・・)。