えらく間が空きましたがドカティ916レーシングとグリズリーパンダさんの霊夢&魔理沙を製作するブログの第3章です。

今回はいよいよドカティ916の製作を中心に語っていきますが、これに交えて私のドカティ観もちょっとだけ記事にしてあります。

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(完成したドカティ916、細身でグラマラスなプロポーション。さすが「世界で最も美しいバイク」と呼ばれただけはある。イタリア製キットにしては我ながらまずまずの出来に仕上がったんじゃないかな~と。「私は美少女ガレキだけ作ってる腐モデラーではないのよ~!」ということをここに熱く宣言したい。)

ちなみに私はメカ&美少女のセットを作るときはまずメカから作りはじめます。本来であればまずは美少女ガレキの方から作るべきであるのかもしれませんが、絶対にメカからなんです。

それは何故か?バイクやメカが好きだからか?まぁそれもありますが、真なる理由はそうじゃない。

フィギュアの添え物になるメカって手を抜こうと思えばメチャメチャ手を抜けるんですよ。ディティール細かいし、塗り分け多いし、組み立て面倒だし、さっさとフィギュア作りたいしで、スゲー手を抜きたくなる。・・・でも、手を抜くことなど決してできないんです。メカをしっかり作るというのは「製作者である私の精神の健全さの証明」でもあるからです。

美少女フィギュアだけの単品だと、フィギュアの露出によっては私は単なる「エロモデラー」となってしまうおそれがある。

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(児童相談所もブチ切れの高露出ロリ。この尻の素肌面積とハイレグの食い込みでは雇用主は児童ポルノで逮捕されかねない。んで、それ作ってるわたしゃド変態以外のナニモノでもありません。このため組み合わせるバイクに全力を投入しないと性癖を疑われる。)

今回の霊夢&魔理沙もフィギュアだけだったら、

「オジさん、その年でこんな露出の多いロリっ子を作っちゃって、犯罪者なのかな?」

「それとも欲望だけが限定解除されちゃった変態さんなのかな?」

「お願いだから人間を名乗らないでほしいかな。」

「すみやかに自害して地球上の二酸化炭素の削減に協力してくれないかな!!!」

「あーーもう!!キモいんですよ!!サッサと死ねやあああああああ!!!」

と脳内に住む変な語尾の少女に殺処分されかねないんです。

しかし、バイクやロボットを脇に置けば、どんなスケベフィギュアのカップリングでも、それは「かろうじて模型」になってくれるような気がする。これは私の内面の問題だけで、世間の見る目は1ミリもかわらないのかもしれませんが、この点が私のフィギュア作りの譲れないエンドライン、「股間を隠す最後のイチジクの葉」なのであります。

また、純粋な模型としてみた場合も、組み合わされてるメカに手を抜くと完成品全体のクォリティがガーンと落ちる。人は細部を見なくても、ちゃんと作ってあるかどうかってのを「感覚で理解する」恐ろしい生き物なんです。バイクが適当な仕上がりだと、なんとなくシャッキリしてないぼやけた作りだなーって感じちゃうし、バイクとフィギュアのクォリティが極端に異なると「エロフィギュアだけを楽しみに作っているキモ男」と認定されてしまうリスクがまた高まってしまう。だから製作のエネルギーがあるうちにバイクをできるだけ丁寧に作っておかなければならないわけです。

メッキはがし
(この手のバイクのクォリティを上げるためにまずしたいのがプラスチックに施されてるメッキはがし。安っぽいメッキは重量感をスポイルするんで、メッキを完全に剥がして再度塗装して重厚感を出します。これは別のバイクのメッキを剥がしているところ。どうやって剥がすか?サンポールの原液に一日漬け込むんですよ~。)
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(このブレーキローターが一旦メッキを剥がして塗装でメタル感を表現したものです。テカテカのメッキより質感がグッと落ち着きます。)

今回のフィギュアで何故バイクが大事であるのかという解説はここまでにして、このプロターのドカティに話を移しますと、これ作り手のことあんまり考えてません。フレームやフロントフォークに塗料が定着しにくいメタル使ったり、パーツの分割をあんまりせずに、パーツ内での塗り分けを要求したりする。・・・めんどくさい。かなり古いキットなのでエアブラシ塗装の時代じゃなく、筆塗りを基準にキットが作られているのかもしれません。つまり、上級者向けというか、作り慣れてある程度の苦労が許容できる人たち向けなんです。

しかし、パーツ一つ一つは乱暴で雑な作りにもかかわらず、苦労して完成させてみると全体のプロポーションは震えるほどに美しい・・「これマジかよ」っていうくらい造形にキレと色気がある。ドカの916は「世界で最も美しいバイク」と呼ばれていますが、本家イタリアの模型だけあって、プロポーションバランスの美しさは見事に再現されているといっていいんじゃないでしょうか。

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(このキット、作っているうちはいい印象はまったくないのですが、手間暇かけて完成させると「おおおおお!!」ってなる。これがイタリアモノの本質ではないか?)

いい加減な模型なのに完成するとそれなりの仕上がりになるところを見るにつけ、「・・イタリアモノだなぁ・・」って思うわけですよ。中身はともかく、外見の色気と艶やかさは間違いなく世界一。国産バイク屋がカワサキのバイクを見ると「カワサキか・・」と思わず口に出してしまうのと同様、イタ車を見ると「イタ車か・・」と自然につぶやいてしまう。それくらいイタ車は悩ましいバイクです。

思い起こせば今回の模型のベースである916racingの市販版である「916ストラーダ」を含む90年台のドカティも、模型と同じく「ある程度の苦労ができる人向け」のバイクでした。

エンジンに採用されたドカティのお家芸ともいえる、デスモドローミック機構(以下めんどくさいのでデスモといいます。)はカムでバルブの開閉を強制制御するシステムですが、この機構がドカの面倒くささの代表例ともいえる。

デスモは高回転域で生じるバルブスプリングの異常動作を排除するために考案されたシロモノですが、とにかく抵抗が少なくて正確に動作するんでエンジンの切れ味が衰えず高回転も軽々回る。デスモ採用の水冷Lツインのキレキレのレスポンスと清々しい回転上昇に魅了される人も多いわけです。

しかし、高回転でサイコーのデスモも市販モデルとしては問題点だらけ。まず生産性が悪い。カムとバルブ周りが非常に複雑なパーツになるので部品点数も多く組み上げもめんどくさい。だから、エンジンの製造コストが上がっちゃう。

なにより機械ってのは複雑にすればするほど調整が難しく信頼性が低下するんです。こんな複雑なモノを昼飯食うとシェスタしちゃうイタリア人が作ってるわけですから、その実態は推して知るべし。

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(916の左右、4スト大排気量車なのにどこか2スト250レーサーを彷彿とさせる。スリムなんですよね。片持ちスイングアームとアップマフラーで右から見るとリアタイアが丸出しなのが素敵すぎ。あっという間にタイヤ外せますね。)

また、一般のエンジンはスプリングの戻りの力によって常にバルブが閉じる方向に押さえつけられているので、スプリングの反力により閉じ側のバルブクリアランスは自動調整されてます。このため無理させなければ結構長い間メンテフリーなんですが、デスモは違う。

バルブの閉じも開けも、カムとレバーによる強制開閉式なんで、そのバランス調整がシビア。繊細なパーツの組み合わせで動かす機構ってのは機械式腕時計と一緒で定期的なオーバーホールが必須なんです。しかも高回転型エンジンで高速稼働してますからねぇ・・2万キロ~3万キロくらいの距離を乗ってヘタると、バルブ周りの精密さが失われてくるんですよ。

このためエンジン下ろしてヘッド開けて、バルブの動作の狂いを修正しなきゃならないんです。わかります?故障でもなんでもないのに2万キロでエンジン下ろしてバラさなきゃならないんですよ。ゴールドウィングF6Bの6気筒は「30万キロエンジン開けずに基本ノーメンテでいけちゃいますから~」ってホンダの技術者は言ってる。確かにGLのエンジン開けたって聞いたことない。もう基礎体力っつーか設定された耐久性能にハナからもの凄い差があるんです。ココを無視して多くの雑誌が外車に対して提灯記事を書くから私はカチンとくる。オメーらユーザーを代表してんだから、市販商品としての欠点もちゃんと書けよと。ホンダとドカじゃ、Lツインが~とか、スタイリングが~という前に、

「商品を買った消費者に対する優しさと思いやりが根本的に違ってる」

バイクを耐久消費財として見たときの真なる違いはココなんです。

まー、ドカは一事が万事こんな感じです。美しい車体デザインと小股の切れ上がったような乗り味が身上なんですが、設計を追い込みすぎて、市販車としては懐の深さというか余裕がない。ぶっちゃけレース車両に近いわけですね。だから絶好調時の切れ味は素晴らしいけど、手入れせずにほっとくとあっという間にナマクラになる。常に金かけて刀身を研いでやらないといけない趣味人のためのバイクなんです。

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(カウル内部。カウルつけるとほとんど見なくなりますが、だからといって手を抜くわけには参りません。ただし、必要以上に追い込んだ仕上げはしない。)

だから「ドカティが壊れる」という認識は間違ってるんです。ばくおんの早川が言っていたように「ありとあらゆる手間を惜しまず、まるで雛鳥を育てるように整備という介護をマメに行い、使用上の注意を怠らなければ壊れない」んですよ(笑)。

美人でキレキレのアスリートだけど、世間知らずでプライド高く、ケアを怠るとすぐ機嫌が悪くなるツンデレのお嬢様。個体個体にも個性(ムラ)がある。そういうところを理解してる人が買えばいいバイクなんです。

「熱膨張でクラッチが切れないぃいい!」

「冷却水が噴き出したぁあああ!!」

「ブレーキキャリパーが落ちたぁああ!」

「マフラーが落ちたぁあああ!!」

「ライダーも落ちたぁあああ!!!」

「エンジンがブローしたぁアァア!!」

「燃えたぁあああああ!!!」

などというトラブルは、ひとっ走りした後の増し締めというケアが足りなかったり、ドカティが想定していない過酷な環境にぶち込んでしまったり、乗り手の腕がなかったり、劣悪な個体を引き当てた運のなさだったり、すべてオーナー側の落ち度なんです。

「なによ!これがレディの扱いなの?マナーもエチケットもなってない!!このドヘタが!!もっと私の挙動にあわせなさい!!愛情も注ぎなさい!!愛してるって連呼しなさい!!わがままボディをケアする金もよこしなさい!!!」

と終始何かを要求して来る。うぉーめんどくせぇ・・。けどこんなドカを可愛いと思えるオーナーがバイク乗りには多いんだと思うんです。

これに対し、日本車は「モンペはいた日本女性のようによく働き、ノーメンテでも壊れない。」有能機械なんで、ドカがよく壊れるように感じちゃうわけですが、ドカは切れ味と引き換えに重度のケアが必要なメンヘラってだけ。ダメなとこもあるけど、ちゃんと良いところもあるし、突き抜けてるから私は嫌いじゃない。

これまでのドカの悪評はその点をちゃんと伝えなかった販売店やメディアが引き起こした人災です。本来は社交界にいるべき女性が、正体を隠して一般の結婚紹介所に紛れ込んでいたわけで、これはトラブる。間違いない。ドカは日本人の考える常識が通用するバイクじゃない。だからフツーの所得のライダーは遠巻きに眺めるだけでいいんです。めんどくさい女を無理して嫁にして、田舎へ連れ帰るからややこしくなるんですね。

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(マフラーの焼き色。クリアーブルーとクリアーオレンジを使って焼きを入れるんですが、私はあんまりうまくないですね。)

世界を争う4メーカーを擁する日本車にスタイリングで勝り、メンテも不要で、峠無双。そんなバイクはこの世にそうそう存在するわけがない。バイク雑誌の外車持ち上げなんて、維持費や耐久性や日本の道路環境とのマッチングなんてぜーんぜん計算に入ってないですからね。

機械ってのは物理であって魔法じゃない。設計技術力と生産技術力とコスト意識の塊でトータルバランスが極めて高い日本車に対して明確なアドバンテージを発揮するには、なにかを犠牲にしなきゃ無理なんです。だから、「日本車にココが勝ってる!!」ってバイクに対しては、「じゃあどこを犠牲にしてるのカナ~?」と考えてみるといろんなことが見えてきて面白いわけですね。

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(というわけでドカティ916Racingが完成です。メカが満足いく仕上がりでロールアウトすると、フィギュア作りにも俄然気合いが入って参ります。)

今回は、バイクの製作記の名を借りて、私のドカティ観を書いてみました。お粗末様でした。