前回のタイヤ交換から約10000㎞を経て私のF6Bのタイヤがツルツルになってしまいました。

これだけズルムケになると、リアがグリップしなくなり、2速の3000回転オーバーからグワッとワイドオープンするとあっさりと滑り出します。クッション性も急激になくなって、ちょっとした段差を乗り越えると、「グェェエエ」と衝撃がモロに腰にくる。舗装の荒れた路面ではスピードを緩めないと私のガラスの腰が砕けちゃう。

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(しゃぶりつくしちゃった感のあるリアタイヤ。スリップサインを通り越して、溝が消えています。ここまでくると、さすがのエクセドラもしなやかさがなくなっちゃって、ギャップ踏むたびドシンバタンで、パワーかけるとあっさり滑っちゃう。)

そう思うと、やっぱタイヤってのはバイクの中で一番大事なパーツです。バイクをイジるより何より、自分にとっての適正タイヤと適正空気圧を探って、これをキッチリ維持し続けることが一番大事かなと思うし、理想的なことをいえば、2分山くらいになったら早め早めに交換したいところなんです。

しかし、残念ながら人にはフトコロ事情というものがある。最近はバイクでの出血が著しく、そんな理想論なんていってられない。

「フロント使い切ってからタイヤ交換するのが経済的なにょ!!タレたタイヤで耐えしのぶ貧乏レーサーの気分でがんばりゅっ!!」

と金のなさに言葉使いも幼児化してしまい、すでにスリップサインが出ていたリアタイヤをダマシダマシ使ってたんです。

今時のバイクはトラコンがあるんで滑っても安心なのかもしれませんが(トラコン付のバイクに乗ったことがないんでわかんない。)、昔のフルパワーの逆輸入車(特にパワーかさ上げした旧V魔あたり)で金ケチって安タイヤ入れるとすぐパワー負けしちゃったんですよ。

400ccくらいのバイクのパワーなら安タイヤなりに走れて、ハイライフが光るんでしょうが、リッターバイクでグリップが不足するとアクセルをとたんに開けられなくなる。交差点や発進加速でちょっと強めにアクセルあてると「いやんいやん」とセクシーにケツ振りまくるマリリンちゃん状態になっちゃうんです。

バワーがあっても路面に伝わらなければ、公道でタコ踊りするおもしろバイク。アベレージスピードも悲しいほど下がる。世界最速ウサイン・ボルトだって「1000円のゴム草履で走れ!」っていわれたら悪戦苦闘でしょう。

「ぐわぁああぁああ!!グリップしないぃぃぃいい!!超ミスチョイスやばい!!どうすんのコレぇぇぇぇえええ!!」

と頭抱えて後悔しても、金がないからケチって安タイヤ入れたわけで新しいタイヤに履き替えることなど不可能。その糞タイヤがなくなるまでひたすら我慢を続けなきゃならないんです。で、そんなタイヤほどお財布に優しくて減らない。だから安タイヤ入れるにしろ、タイヤを溝なくなるまで使うにしろ、「ハイパワー車のリアハッピー」っつーのは「貧乏人の証」なんですね。

そうこうしているうちに、ついにフロントもスリップサインが出てしまいました・・・。リアはともかくフロントが滑ったら私の腕では念仏唱えるしかないので、残念ながらこれ以上引っ張ることは難しい。ここが年貢の納め時・・。

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(フロントタイヤのスリップサイン。リアに比べたら良く粘りました。2万㎞もたす人もいるらしいけど、私には無理っぽい。)

とはいえ、タイヤを交換するためには先立つものが必要なんです。昨年末ダイナの車検とエンジン修理で38万円が吹っ飛んでいるところに、このF6Bのタイヤ交換。これはキツすぎる。ボディーブローで顔が下がったところに、カミソリアッパーを食らってエビ反りになった感じ。

マウスピースは天高く吐き出され、目は白目になり、半笑いの口からヨダレが糸を引き、アタマではピヨコが高速回転。あとはスクリューパイルに吸い込まれるのを待つだけ。

私のスネが、この2台にかりんとうのようにバリバリと食い散らかされてます。

ちなみに、ゴールドウィングの純正タイヤはブリジストンのエクセドラG709(フロント)とG704(リア)ですが、これは完全なゴールドウィング専用タイヤ。ゴールドウィングってのはシャーシもエンジンも全て専用設計で主要部品に使い回しがないというとても贅沢なバイクなんですが、タイヤも専用品が用意されてる。

このタイヤ、ゴールドウィング用にしつらえただけあって、「尖ったとこもないけど文句もない」という実に素直なタイヤです。そこら辺が不満だっていう人も多いんでしょうが、私はすっごいウェルバランスで自然体のSC68の乗り味に良くあってると感じてる。だから、これ以外のタイヤを検討したことがないんです。

舗装林道を走るという私の過酷な使用法でタイヤが1万㎞近くもつという経済性もある。他の人の意見では丁寧に使えば2万㎞は持つそうなんですが、アクセルワークがラフで開け気味な私が使うと1万㎞が限界です。

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(今年の冬は雪が降らないんで、結構乗れるんですよね。結果的に冬の間にタイヤがなくなっちゃうってことになりました。)

ハーレーもF6Bもちょっと深めにバンクさせるとあっさりステップ擦っちゃうので、ガリガリにシゴくっていうことはない。だから、タイヤの寿命はやっぱり10000㎞~12000㎞くらいは欲しいなーと思う。

しかし、ハイライフを望めば、路面にねっとりと張りつくようなグリップは諦めるしかない。ハイグリップタイヤは路面に貼りついて安心感バリバリかもしれませんが、街中フツーに走るだけで消しゴムみたいに減っちまうんです。

「ダメダメ!!旦那さん!このままじゃタイヤが終わるヨー!!!ピレリのロッソが泣いてるヨ?最強装備を身につけて、フィールド歩いててもしょうがないヨ!目指すは山ヨ?ボス戦ヨ?」

というスメアゴル的なささやきが凄い。それに負けて峠という戦場へ出張って、「うぉぉおおお!気持ちえぇええええ!!俺ツェェェエエエエエエ!!」と無双して調子こいてる絶頂で、神様が撒いたお仕置きの浮き砂を踏み「あぎゃあああああああああ!!」という断末魔の叫びと共に、くるくる回転してバイク屋に戻るのがお約束なわけです。

当然所持金は没収。ふっかつの呪文で復活できるかゲームオーバーになるかは、心の折れ方次第です。

私は過去コケまくって心と手首がボキボキ折れてるんですが、不思議に復活力だけはあるみたい。でもいい歳になって「もう復活できんだろ、さすがに。」と感じてるので、今ダンジョンの奥でライフゼロになるわけにはいかないんです。

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(こういうのタマにありますが、正直このネダり方はない。完全にナメられてます。しかも5万じゃなくて6万円なんだよ!維持費はバイクへの愛だと思うけど、ここまで容赦なく金むしられると涙目で虚空に向かってロボコンパンチ出したくなる。)

ゴールドウィングやハーレーはタイヤが滑っても一発ですっ飛ぶようなバンク角がないので、多少スライドしても問題ないから、そこまでのハイグリップタイヤはいらないし、どんなハイグリップタイヤ入れたとしても400㎏の車体を限界領域で踏ん張りきらせるのは無理がある。だから、ある程度ライフを確保した上で、グリップ限界が来た時には「穏やかに滑らせていく」という特性にした方が良いわけです。

エクセドラはいい値段するだけあって、安タイヤのように「キョキョキョー」と品がないスキール音を立て、ズルルルルーなんて滑り出しはいたしません。音もなく、「ヨヨヨヨヨヨ」って時代劇で泣き崩れるお姫様のような品のある滑り方をしてくれる。だからずるむけで滑り出してもまだ何とか乗ってられるわけですね。

とりあえず、レッドバロンにエクセドラの前後を注文すると、しばらくして、電話があり「すいませんー。前回より値上げになってますー。」っていわれて提示された価格は工賃含めて6万1000円。前回は5万4000円くらいだったので、この2年間で7000円も値上がりしたのか?聞くところによるとリアフェンダー脱着工賃も上がってるとのこと。あんた越前ガニですか?やめて下さい。

それなりに長い期間バイクと付き合うようになって、維持が一回り二回りするようになると、「バイクって金かかるわぁ・・・」と改めて思うようになる。最近は「カスタムじゃなくって維持費の支払いこそがバイクへの愛じゃないか?」とすら感じてる。だってカスタムと違って、金ツッコんでも元に戻るだけですから、ケチくさい心がムクムクと湧いてきちゃう。

大人になって一家を支えるようになると、いろんなものに金がかかる。この世の父親は家庭の水道光熱費、食費、家族のスマホ代、保険代、学費もろもろを負担しなきゃなんない。バイクにだけ金使うわけにはいかないんです。そんな中で「あんまり維持費がかからない」っていうのはとっても重要な性能ではないか?と、実感している今日この頃です。

(・・と甲斐性なしは自分の収入の少なさを棚に上げて供述しており・・・。)