前回からかなり間が空いてしまいましたが、グリズリーパンダの霊夢&魔理沙、ドカティ916レーシングの製作記です。

もうこれで製作紹介が20体目を超え、同じ内容が繰り返されちゃったりしてるのかもしれませんが、毎回ちょっとづつ違うはずなんで許してくださいね。

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(今回はこちらの製作記part2です。かなり間が空きましたが、ガレキ作りは私の趣味。多くの人には需要はないと思いますが、今後もボチボチ上げていきます。)

一般的な模型の場合、購入してからしばらくは「うへへへへ~」と箱絵を眺めたり、ベッドに寝っ転がって組立説明書を読みながら完成状態を妄想したりという、心安らぐ至福の時間があるわけですが、ことガレージキットにおいては、そんな安らぎの時間は与えられません。

まず購入して真っ先にしなければならないこと。それは「パーツチェック」です。ワンフェスから帰宅したら即開封し、パーツをずらりと横に並べ、同封のパーツリストと照合しながらパーツ欠品がないか検品作業を開始する必要があるのです。

RQ霊夢
(キットに入っているのはこの紙切れ一枚。最低限の必要事項は一応書いてある。これでも手書きでないだけ全然マシ。)

そう、ガレキの世界では恐ろしいことに「パーツが入っていねぇえぇええええ!!」ということが当たり前のようにある。萩尾望都の名作に「11人いる!!」っていう漫画がありますが、「9人しかいないのん!!」とか「13人もいやがりますです!!」とかがしょっちゅうある。キット価格が軽く2万円を超えたりしてる奴で欠品食らうと「んがぁあああ!雑すぎぃぃいいい!!」とキレそうになりますが、こりゃもうしょうがないんです。

なぜならガレージキットは「溶剤臭が立ちこめる奴隷部屋のようなところでキャストを複製し、脳死状態でただひたすら型を抜き、袋詰めを続ける」という富岡製紙所すら裸足で逃げ出すくらいの残酷労働から生み出されているのですから。

小規模ディーラーはワンフェス会場に出発するギリギリまで狂乱の袋詰めを行っているわけで、ワンフェス直前の鉄火場加減によってはパーツ欠品がボロボロ出てくるわけです。
 
これまでたくさんのガレージキットを作ってきた私ですが、あたりが悪いのかキット5つに対して1回はパーツ欠品にぶち当たってる。なんと欠品率2割です。

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(こちら博霊霊夢のパーツ、こうやってみるとなんか非常に猟奇的で怖いですね。)

こんなのは出荷前の検品作業をしっかりしてれば、起こるはずのない現象ですので、「検品作業をしているヒマなどない!」のか「検品作業員が壊れかけのRadio」なのかのどちらかです。最近のガレキはそうでもないのかもしれませんが、黎明期の商品クォリティはかなりヤバいものがありましたね。

また、ガレージキットはその沼にどっぷり浸かった真正ジャンキーを相手にしてますんで、多くのキットが不親切。そもそも30個程度しか販売しないものに親切さを求めるのが間違い。製作者は造形を完成させるだけで「深夜アニメ最終話付近の作画スタッフ」のように力尽きているので、買い手にサービスできるほどの気力も体力もないわけです。

一方ガレキモデラー側も、理不尽の数々に遭遇するうちに、その現状を受け入れてしまう。パーツが足りないとか、不親切だとかいうのは、そのガレージキットの産みの苦しさの証拠であり、そんなキットに愛着を感じていくわけです。

そんなわけで、仮に説明書がついていたとしても、ほとんどがやんちゃな手書き。原型師に絵心がない場合、「旧石器時代の洞窟壁画」みたいに解読が難しいものがあったりします。

まぁ作る側としては、「組立て完成後の塗装済み写真」「パーツ一覧表」さえあればいいんですが、酷いキットになると、インターネットアドレスだけがドーンと入っていて、そこにアクセスすると「パーツを並べた画像にようやくたどりつける」という場合もあるし、超小規模ディーラーになると完成写真と欠品の際の連絡先のメアドだけというケースもあります。

とりあえず、袋を開けてパーツ一覧表と照らし合わせながらパーツチェックしていきます。これがない場合はもうどうしようもないので、現物合わせで一回仮組みしてみて、「完成写真どおりちゃんと完成するか」どうかでパーツの過不足をチェックことになる。

「パーツの確認のためだけに、組まなきゃならないってどうなのーーー」って思うかもしれませんが、こんな程度のことで心が折れていては、ガレージキットという「理不尽極まる存在」とはつきあっていくことは到底できません。

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(こちら魔理沙のパーツ。塗装しやすいように上手く分割されてますね。)

パーツチェックの結果、パーツが不足していればメールで請求するわけですが、購入してから1ヶ月くらいの間にパーツ請求しないと、もう「シリコン型がなくなっちゃって複製できませ~ん。ごめんちゃい!」とかいわれちゃうことがある。家内制手工業なので時間的な制約もかかってるんですね。ですから、「購入したらすぐパーツチェック」が常識なんです。

あと、ちゃんとパーツが揃っているんだけども、同じパーツが1個多く入っていたりした場合の「いや~な気分」もまた格別です。だって、こっちに1個多く入っているということは「誰かのキットが一個足りない」ってことなんですよ。同じパーツがダブってもしょうがないので、捨てるしかないんですが、量産品じゃないのでパーツの貴重さって普通のプラモとは全然違う。「誰かが世界のどこかで、このパーツがなくて右往左往してるのかもしれない・・」と思うとなんか捨てられない。こっちはこっちで非常に落ち着かない気分になります。

今回の霊夢と魔理沙はパーツの数が霊夢21個、魔理沙24個の計45個。どこにつくか悩む余地のないパーツが多いので楽ですが、これがレジンバイク+女の子みたいなキットだとパーツ数が90個くらいになるし、細かいパーツも多いので、チェックがいささか面倒になります。

パーツが揃っているのを確認したら、今度はドカティの方も見ていきましょう。かなり古いキットをヤフオクで購入しましたが、箱はもうボロボロです。

プロター ドカティ916
(プロターのドカティ916の中身。開けた瞬間から、日本の模型とは大分違うな・・という印象です。一言で違いを述べると、対象年齢が高い。日本の模型は低年齢層でも無塗装の素組みくらいはできますが、このドカはフレームがメタルの時点で、ニッパーとセメダインだけじゃどうしようもない。)

中の部品はランナーで繋がってますのでパーツ確認は楽ですが・・さすがイタリア製・・なかなか特殊で豪快な作りです。なんといってもこの模型、「うひゃぁ!フレームがメタル製でバリがスゴイ!!ネジを通す穴も埋まってるぅぅう・・」。あと

「エンジンからスイングアームまで中心線から2分割って、あしゅら男爵状態じゃないですかぁァァアアアアアアア!!!」

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(見てください。この豪快な分割を。チョー笑える。エンジン、スイングアームが剣豪に縦に切られたように生き別れです。本来はディティール毎に分割されるべきパーツをコストの関係で豪快に縦割り分割してしまったものを私は「あしゅら男爵状態」と呼んでいます。)

・・これ、あまりにも豪快すぎないでしょーか?プロターさん・・もうディティールのほとんどがモールド処理で・・塗装する側のことも考えてくださいよ!!!!「今どき12分の1の小ケールバイクでもこんなことしないのに、9分の1でこれって・・つらい・・」

こういうの見ると日本の模型ってスゲぇ親切だなぁと思います。日本人って模型が大好きな人種なんでしょうね。だって、タミヤやハセガワ、アオシマ、イマイ、バンダイなど、模型メーカーも沢山あるし、生産ロットがそれなりに多いから模型が組みやすく親切に進化していってる。一部のマニアだけの趣味だったら「ちょっとくらい、いい加減でもいい」んです。だってマニアは文句言いませんから。

人間って知識がつけばつくほど、どんなものにも文句をいわなくなるんです。だって、最悪のパターンでも自分でなんとか切り抜けて作っちゃうようになるし、さらなる手練れになると「デキの悪いキットほどかわいい」、という変態マゾヒストになってく傾向がある。

だから、模型の組み立て難易度や組み立て精度については、なんの知識もない初心者サンが一番厳しいんです。で、見る目の厳しい初心者がたくさんいて裾野が広い業界ほど製品が進化して作りも丁寧になる。だから、裾野作りってとっても大事なんですね。

だから、今回私が作った「女の子ガレージキット+イタリア製のバイク模型」みたいな組み合わせを、私のブログ見た初心者モデラーさんがいきなり作ろうとしても無理だと思うんですよね。そんなものを誰でも作れるかのようにブログ化していくのは私は一番不親切だと思っているので、あえてその酷さを赤裸々に書いておるわけですが、私自身、いつまでも初心者目線を忘れないようにしていきたい。そういう思いも込めて、素人模型道を貫いていく所存であります。

皆さんは初心者のうちはこんな沼にハマらないように注意してください。普通の水に泳ぎ慣れてから泥に入水しないと溺れますから。

今回はアラアラとしたキットの説明でございました。(次回に続く)