前回からずいぶん間が空きましたが、水着フランの製作記です。今回は顔描き。もう20体近くも製作記を書いて参りますと、ほとんど書きたいことは書き尽くした感がありまして、これ以上なにを書くのか?という悩みはブログ更新の度に深くなって参りますが、なんと申しましても、美少女フィギュアと他の模型の最大の違いは「顔を自分で描く」というところにつきるので、これを外すわけには参りません。

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(水着フラン。今回はこの顔描きについて下書きから報告します)

なんせ、顔が「おてもやん」や生気のない「ゾンビ顔」になったとたん、その他の部分のクォリティをどんなに上げようがどうしようもなくなるという悲しみを背負っているのが美少女フィギュアなのですから・・・。

しかも、私のように「フィギュアの顔がうまく描けない」悩みってマリアナ海溝より深い。絵とかいうものは、どうやったらうまく描けるかっていうのが全然わからない複雑怪奇な代物。

最近は絵をうまく描く本なんかも販売されているようですけど、私はそんなものは読まない。そんなものを読んでうまく描けるのなら、誰しもが一流イラストレーターになれるはずなのですが、世の中そんなに甘くはない。現実は頭で思っているように「手が動かん」のです。

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(とりあえず鉛筆下書き。右目が髪の毛で隠れるのが水着フランの特徴。オリジナルのアポクリファ・フランは右目も左目も隠れてます。)

私の経験上、ツボにはまって悩むことなくスラスラ描けるときは大体デキが良く、うまく描こうとしたり、人のものに似せようとしたりして悩めば悩むほどロクなものが描けないという不思議なものなんです・・。

要は他人の感性に引っ張られちゃ駄目なんでしょう。それは既に「自分を見失ってる」ってことなんで、人の描いたものを参考にするときはイメージとして自分の中に取り込むけど、アウトプットはどんなに苦しくても絶対自分の魂から出さなくてはならない。

子供達の絵が下手でも魅力的な一方、凄くうまいのに今ひとつ魅力のない絵も多数存在する。そう感じるのは創作物はやっぱりテクニックじゃなくて情熱であって、その人の持つ人格やリビドーが反映されてるかどうかが魅力に繋がるからじゃないかと思うわけです。

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(左から見たときに、この髪から覗く右目をどのくらい見せるかが非常に難しい。今回は見せすぎた感が否めない。)

しかしながら、この自分のリビドーに従うということが実はこの世で最も難しいことなんです。目をこう描けば・・とか、こういう表情に持っていけば・・とかいう方程式は実は全くない。「好き!」というとらえどころのないフィーリングを具体的に形にする難しさって一流大学の入学試験より回答がない分難しいと思う。

たとえが悪いんですが「あなたは悩むとハゲるとおっしゃいますが、私はハゲが悩みです。」くらいの迷宮にはまってる感じがするんですよ。

なお、私は自分のブログに度々イラストを上げていますが、イラストとフィギュアの顔描きも全然違う。イラストが描けるからってフィギュアの顔が描けるわけではないんです。今のデジ絵って、昔のGペン一発勝負と違って、うまく描けるまで何度でも直しまくることが可能です。デジタルの消しゴムでさっと消して、また描いていく。でも、美少女フィギュアの顔は一発勝負。私は最近でデジ絵になれてしまって、明らかに一発勝負のキレが落ちてます。

美少女フィギュアは模型用塗料ですから、デジ絵のようにクリック一発で元に戻すなんてことはできないので、ミスっちゃったら全てが終わってしまうのです。

また、顔って描いた直後は「そこそこうまく描けたんじゃないの??」と思っていても数日すると納得いかなくなっちゃったりすることがよくある。そして一度気になっちゃうととにかく気になってしょうがない。他人様のためではなく、自分が一番好きな顔を目指しているので、平均点で妥協もできないんです。

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(塗装後。今思えばもう少し目を小さくしておけば・・・くそぉ・・)

完成品した後、微妙なところがどうにも気になって、リスク覚悟で手を入れて「どうだ!直したぞ!凄く良くなっただろ!!」なんて妻に見せると「ハァ?なにが変わったのかわからん・・」という答えが返ってきて大ショックを受けたりもする。しかし、そこで気分を損ねて「君の化粧みたいだな!」なんて言ってはいけない。その瞬間、それは事案となり、離婚調停にまで発展したあげく、調停委員の前で

「え??離婚原因ですか?うちの旦那が半笑いで美少女フィギュアを作っているのがキモすぎて・・えぇ・・・おわかりでしょう??あの男は変態なんです・・ふふ。」

などと証言され、私は金では買えない大事な何かを失うことになる。

でもこれはファッションでもバイクのカスタムでも、あらゆることに起こりうること。気にしているのは本人だけで、周りはそうでもないんです。ですから、まずは他人のことなんて横に置いておいて、自分の納得のためだけに突き進んでいくのが創作活動では大事だと思うんですね。

そんなこんなで前置きが全体の2/3くらいに達してしまいましたが、ここからが製作記。とりあえず下書きです。いつも通り0.3㎜のシャープペンシルで描いていきます。

フランちゃんの特徴はなんといってもゲゲゲの鬼太郎よろしく前髪で右目が隠れてしまうところ。特に今回は左斜めからの角度が正面になる構図ですので、隠れる右目をどのように見せていくのかがこのフィギュアのキーポイントであると考えております。

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(髪の毛をかぶせてみました。顔を描くときは最後は必ず髪の毛をのせてチェックしなくてはなりません。角がないと変ですがご勘弁下さい。うーん。正面はまずまずというところ。)

実は私の好みは昔風の縦長の瞳。今はまん丸な瞳が主流に近いとは思うのですが、私は平成初めから昭和の頃に主流だった縦長目が性癖なんです。

しかし、今回私は、「髪に隠れて見えにくい左目を見せていきたい」欲求に駆られ、目をいつもより丸く描いてしまいました。これがペン入れをしてどうでるかが一つの賭け。というかもう完成しているので賭けでも何でもないのですが、正直現時点では「修正してぇええええぇえ!!やりなおしてぇぇええええ!」と思っています。

でもこれと言った修正案も浮かばず、「ぐぬぬぬぬぬぬ・・・」とうめいている感じ。とにかく慣れないことやるとロクなことがない。ああ、このブログを書いている間にまたムラムラと直したくなってきました。しかし、どう直すか考えつかず、考える人ポーズでウォシュレットの水流をひたすら尻に当てているというていたらく。このままでは、平成最後の日を「フランちゃんの瞳の修正案について」考えつつ終えることになってしまうのかもしれません。

まぁ、こんな第三者から見たらなんでもない下らない悩みに脳みそ全てを支配されるのが、美少女フィギュア製作なのであり、他の模型にはない醍醐味だったりするわけです。

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(この右目の見せ方が非常に難しかった・・・まだまだ修行が足りません。うう・・手を入れたい・・)