新型カタナが発表されましたね。

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(はわー・・新型カタナ、メチャクチャいいじゃないですか・・いろんな意見はあろうかと思いますが、私はツボです。角目のリック・ディアスかよ・・。ちなみに写真はいろんなサイトからの頂きものです。)

これからいろいろ書いていきますが、私はカタナ大好きです。スケールモデルも持っています。でもブログを読んで「キッサマァ!!戯れ言ををぅうう!!修正してやるうぅうぅううう!!」と激怒されるカタナ乗りがいるかもしれません。しかし、私は「オポッサム君のような死んだふり」で嵐をやり過ごすのみ。

まぁデザインは好き好きでしょうが、面構えいいし、シャープだし、どのバイクにも似てないし、カタナの面影あるし、リアは寸詰まりだという意見も多いようですが、絶対現行カタナ風の社外ドレスアップパーツが出てくると思うし・・・でも、私はこのデザイン全然嫌いじゃないです。

「昔のカタナに似てない!こんなのカタナじゃねぇえええぇええ!!」って、感じている方も多数いるでしょうが、私はあんまり昔のカタナに近づけない方がいいと思うんですよね。昔の幻想を追うより、今のこのデザインを楽しんだ方がいい。

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(横から見た図、シャープだけどなんとなく愛嬌もあるところがいいですね。)

「こんなデザインはカタナと認められない!!」という意見もあるかもしれませんが、それは「Zガンダムをガンダムと認めない!!」と言ってるのと同じようなもの。

製造元のアナハイム・エレクトロニクスがガンダムと命名すればガンダムであるように、スズキがカタナというペットネームをつければ、それはカタナなんです。

750でも400でも250でも原付でもカタナはカタナ。貴方が好きなカタナではないかもしれないけど「こんなのカタナでない!!」と原理主義的に力説してもはじまらない。

250や400が発売されたときも「これはカタナとは言わん!!コガタナじゃぁああああ!!」なんて力説する人がいましたが、今ではちゃんとカタナとして認知されてますし、業界が長い方は「これこそスズキ商法だ!!」と膝を打つところでしょう。

私は2代目の鳥居インパルスとか変態カウルのバンディット、どう考えてもビモータのパクリだけど、日本で乗ればビモータより間違いなく良いと思われるグラディウスなどなど、もう心から大好き。「お前のような変態に好かれても販売台数は上がらんわ。」と指摘を受けてもそんな声は聞こえない。

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(これぞ伝説のインパルス。カタログで脇毛、胸毛マッチョを採用する変態ぶり。これじゃ女性は入ってこない。角形ライトと赤黒の車体カラーもホモホモしい。カタログの煽り文句に反して「オンロードの新たなトレンド」になることもなく、超不人気車として姿を消しました。でも乗ってみると、メチャメチャ乗り味爽やかなバイクなんですよね・・。タマのいい安いのあれば買いたいくらい。)

いずれにせよデリバリー当初はいろいろ言われても、新型は時間が経ってくれば間違いなく、「現代のカタナ」として認知されていくはずです。他メーカーと比べても個性的でしっかり通用するデザインになってるので、いい線いってると感じています。

正直カタナって名車1100の呪縛が強すぎるんですよね。CBだと400も750も1100も1300も独自の立ち位置で、しかも400がホンダ入魂のデキなので、どれが上どれが下って議論はほとんどないんですけど、カタナは原点である1100を頂点としたヒエラルキーが強すぎる。

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(私の所有するカタナのスケールモデル。やっぱかっこいいですよね。)

これは「柳の下のドジョウは枯渇するまで掬いにいく」というスズキの商魂が炸裂した結果です。1100カタナの人気の恩恵にあずかるため400と250は1100カタナのデザインを忠実に再現してしまい、オリジナルの1100以外は「ダウングレード版」「柳の下のドジョウ扱い」になっちゃってるんです。

でもカタナはもうそろそろ、そういう呪縛から解き放たれた方がいい。私は400カタナも250カタナもすごくいいバイクだと思ってるので、1100ばかりがもてはやされる風潮はホントもったいないと思っています。

中古屋やってた自分の目から見ると、1100カタナって、相当リスクのあるバイクです。私がバイク屋勤務だった25年くらい前も大人気でオークションでもいいタマはほとんどなかったですが、その人気がずっと持続してるんで、現在の状況は推して知るべしです。これはカタナが悪いわけではなく、どんなバイクでも古くなればたどる道は同じ。特に人気車は回転が速いため、パーツの消耗と枯渇も非常に速いんです。

生産中止から30年以上経つようなバイクは、別の車体から部品をとってパーツかき集めて1台作ってるケースが多いです。それが良い悪いというのではなく、そこまで手をかけても利益が出るから名車ということ。逆に言うと素でいいタマはほとんど残っていない。

「いや!そんなことないでしょ。極上車って書いてあるじゃん!!」

っておっしゃる方、中古屋をあんまり甘く見ない方がいい。例えば私が今乗っている写真のモンキー、私が格安で譲り受けたときは数年間全く乗っておらず、ハンドルや三つ叉なんかサビだらけ。塗装もくすみ、エンジンも粉吹いてて、「朽ち果てたダグラム」みたいな状態でした。でも今は右から左に売れていく程度のモンキーになってます。私は昔中古バイク屋店員だったので、そのとき学んだ磨き技術を惜しみなく投入して現在の状態を「作った」んです。

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(マイモンキー、引き上げ時は酷い状態でした。どれ位錆びていたかというと、程度的には下の写真のモンキーくらい。錆びも酷いし、エンジン周りは下の写真みたいに見事に粉吹いてたんです。これをプロ用のケミカルを使って丁寧に仕上げると上のようなところまで持ってこれるわけです。)

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もし、あなたが30年同じバイクに乗ったら、そのバイクはどんな状態になるか大体想像がつくと思いますが、それがそのまま中古になってるのがカタナの現実なのです。

加えて1100カタナはバイクとしても乗りやすいバイクでは全然ない。当時はどうだったかはわかりませんが、私のようなNSR世代が1100カタナを評価すると、一見凄くレーシーなデザインに見えますが、構成はダブルクレードルフレームの空冷四発。タイヤは立ちの強いフロント19インチ。カタナの外装はぎ取ってしまえば、いにしえの空冷ネイキッドバイクの最高速仕様そのものなんですよね。

旧型カタナの話はここまでにして、新型カタナに目を向けますと、昔の耕耘機ハンドルを彷彿とさせるようなアップハン仕様になってて、バイク単体の写真はともかく、人が乗ると全然カタナらしく見えない。

昔のカタナってタンクにライダーが寝そべるように被さる姿勢がデザインと一体化してて、それが格好良さに拍車をかけてました。新型カタナの雑誌の写真なんか見ると乗り手は伏せ気味で前傾してたりしますが、あれはああしないと昔のカタナっぽく見えないからなんじゃないだろうか。

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(典型的な仮面ライダー乗り。ここまで伏せる必要ないと思うんですが、こうしないと旧カタナとのイメージの乖離が凄くなるはず。)

でもそれがどうしたというのでしょう?アップハンでいいじゃないか。だって楽だもん(笑)。

前傾でイキりたいならGSX-R(年寄りはジスペケと呼ぶ)がありますんで、現代のカタナは「街乗りで楽しいストリートファイターであるべき」という解釈は私は正しいと思う。そもそもカタナ大好きなおじさん世代はもう腹が出ちゃって前傾できないでしょ?といういろんな意味で涙がでちゃう心遣いもあるかもしれない。

エンジン周りは定評のあるGSX-RのK5エンジンを150馬力にデチューンしたもの。しかし、公道でこれ以上何が必要なのか?少なくとも私にゃ150馬力使い切れる自信ないです。

しかし、しかーーし、問題はタンク容量。

初めて見たときは目を疑いました。12L?え?えっ?この巨大なタンクで容量12Lってどういうこと??

ハーレーのピーナツタンクみたいにデザイン上の理由でスゲぇ小さいタンクを採用してんならわからんでもないですが、この燃料タンクの占有スペースで、容量12Lって・・・「まさかタンク部分がメットイン?・・マニア垂涎の超変態バイク、アクロスの再来なのか?・・」


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(伝説のメットインフルカウル・アクロス。タンク部分が収納スペースというだまし絵のようなドンガラ仕様。でもこれめっちゃ便利なんですよ。山奥の温泉に行くときなんて、アクロスの利便性が炸裂。好きな人はとことんハマる名車といっていいでしょう。奇しくもタンク容量が12Lというのは新型カタナと同じなんです。)

タンク形状に相当エグリが入っているようですので、このデザインが響いてるのかもしれませんねぇ・・。

いや、それにしても1000ccの4発でメットインでもないのに12Lはないでしょう・・。私はV-max1200乗ってたとき、タンク容量15Lでかなり苦労してます。改造キットでVブースト回転数を下げたりして

「にゃはははははー!どっかーーーん!!」

などと楽しんでいるとあっさり都内でリッター6~7㎞位になっちゃう。もうドスコイ大相撲のように「常にちゃんこ食わしてないと走らない」バイクだったんですよね。航続距離は原付に毛が生えた程度という悲しさ。

でもまぁVーmaxは、脳筋バイクのドラックレーサー仕様ということでそれをネタに笑い飛ばすこともできました。しかし、今回のカタナはストリートファイター。にもかかわらずタンク容量12Lって数字だけでもうイヤな予感しかしない。


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(ヤマハが作った脳筋マッチョバイク。人間を野性に還すVブースト145PSのエンジンパワーは強烈でしたが、殿様乗りのポジション、よれるフレーム、クセの強いシャフトドライブ、雑なリアサス、ヘロヘロの制動性能が相まって加速感は5割増し。「これは刺さっちゃう~!!」と身の危険を感じさせるバイクでした。でも、ゆっくり走ってるとドロドロとなんともいえない味もあって、結構奥が深いバイクです。)  

この容量だとおそらく8リッターくらい使うと警告灯出るでしょうから、山でちょっとシゴくと下手したら90㎞くらいで警告灯が点滅しますよね。タンク容量を削り、燃費モードの安全走行に無理矢理誘導していくというスズキの策略、精神的リミッターなのか?そうだとしたら策士すぎる!! 

「いやいや12Lはもっと走れるでしょ」という人もいるでしょうが、それは幻想。実際は12Lフルに使っては走れないわけですよ。私の友人で「これまでの人生でガス欠14回」というJAFの天敵のような男がいますが、ほとんどの人はガス欠が怖くて3割くらいの余裕をもって給油しているはずなんです。

東京の方ならそこら中にスタンドあるからいいでしょうけど、私のような田舎在住だと晴れた日は400㎞くらいのツーリングはしょっちゅうですから、ダイナやF6Bで1回給油ですむところをカタナは最低3回くらいは給油しなければいけない。これはかなりのストレスです。

「オッホホホッホ!馬鹿なの??カタナはストリートファイター。田舎道はストリートとは言わないのよボク。貴方が走っているのはカントリーロードで、ストリートじゃないのよ~、おわかりかしら?」と言われたら「あっ、あっ、そっすね。そうですよね。すいませんでしたぁ・・はは・・」などと涙目で巣穴に帰ってしまいそうですが、どうか田舎を見捨てないでください・・

まぁ、どのバイクでも、どこかに必ず突っ込みどころを作ってくるのはスズキならではですが、このタンク容量はどうにも擁護が難しいなぁと思う。どんな素晴らしいデザインでも、バイクとしての利便性と引き替えじゃ価値が半減する。工業デザインって性能上の必要要件を満たしてなお成立するから価値があると思うんですよね。

今回のカタナはコストがかかっても今すぐ改良してタンク容量をせめて15Lにすれば商品力はかなり上がると思うんですが、このままだと、この致命的欠点をろんなバイク系ギャグ漫画で延々イジられちゃうんじゃないかと心配してます。我々が現代のカタナに求めることって、カタナの名に恥じないスタイリングと動力性能が第一でしょうけど、それは決して航続距離と引き替えではないはず。

このままでは「渾身の復活劇が大やけど」という結果になるんじゃないかといささか心配しているんですよね。