オーリンズのフロントサスセッティング顛末記の最終章です。大体これで自分が納得できるサスセッティングが出たなぁという状況になり、そこから2000㎞くらい走りましたが、特段修正するような不満もないので、とりあえずここで区切るべく最終章と銘打たせていただきました。

そのうちまたイジりはじめ、「続・オーリンズへの旅路」とか「サスセッティング・リターンズ」とか「オーリンズ・サスの逆襲」とかの続編が始まるかもしれませんが、そのときはそのときということで、とりあえず今回で締めたいと思います。

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(最近日が沈むのがはやくなってきました。海岸線を夕日を背に家路を急いでいるときに撮影した一枚。海と夕日とバイクはやはり絵になる。)

前回は交換したフロントサスのプリロードを設定したところで終了していました。最終的な落ち着きどころの結論から申しますと、最も締め付けたところから3回転と3分の1戻しのところで調整終了。センターが大体6回転戻しぐらいですので、そこそこ締めています。

「ケッ、そんな前上がりの殿様セッティングでオーリンズの良さがわかるのか、このヘチマ野郎!!」という罵声が聞こえそうですねぇ。ええ、私はへたれなヘチマ野郎。そもそもペンネームのへっちまんはヘチマ野郎の野郎部分をManと英語化したものなのです。

プリロードを締め付けて、サスが前上がりになった分、エアの層が増えてサスの初期動作がダルになり、曲がりにくくなってるわけです。サーキットを走るようならもっと緩めてサスを下げ、回頭性を上げるべきなのでしょうが、養老チューンを目指す私はペタペタ寝るよりねっとりと曲がり、ズモモモモ・・と直進していただいた方が良いので少し締め気味に調整してるというわけです。当然キレキレのセッティングも試してはみたんですが、「このセッティングを重いハーレーでやると癒やし成分がなくなるなぁ・・」と感じて、黙って締めてしまいました。

もともと私がサスを変更したのはクソ重いハーレーをしっかりと停止させるためであり、重いバイクの運動性を上げて軽やかに走らせることではなかったわけです。現状でもオーリンズサスは制動時に十分踏ん張ってくれてますので、後はバンクしたとき違和感を生じさせない範囲で、ひたすら直進の快適性や味わいを上げていく方向で調整していきます。

メーカーが出すサスペンションっていうのはとりあえずつけてセンターにあわせておけばそれなりに仕事はするようにできてます。そこからの調整は、乗り手の好みに応じて特性をどこにに振るか?どこでバランスさせるか?という作業だと思ってますが、ある特性を上げれば、別の特性は下がる。全方位に上げることなど不可能ですから、まずは自分が求める方向性と自分の好みを定め、そこにあわせることが一番大事で、他人がそれをどう評価するかは「どうでもいいことなんじゃないか?」と思ってます。

ということで自分が求めるバイクの在り方を念頭に置きつつ、減衰調整をおこなっていきます。減衰調整というのは減衰力を発生させているオイルの流動スピードを変化させ、それによって乗り味を変えていくわけですが、サスペンションの大枠はスプリングとオイル量、オイルの堅さなどでほぼ決まっちゃってます。ここがあってないのにそれを減衰調整でどうにかできるなんて事は絶対にない。

今回の場合、スプリングはメーカーの方で私の体重にあわせてもらってあるし、オイルは指定粘度のモノを指定量入れてあります。プリロードも出してあるので、ここで既に大枠は決まり、残りの減衰調整はほとんどが微調整にすぎない。

くだらない下ネタでたとえますと、「プリロードの突起の中心にある陥没乳首のような3ミリの6角ナット」を右に左にいかに回そうが、胸の形自体が変わることはありえない。変わるのは「胸の感度」と思っていただいてよいでしょう。この世のほとんどの人の視線が胸の形や大きさに向くのだとしても、いざお付き合いする段階になると感度というのはかなり重要になってくる。

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(センターのゴールドの部分が圧側減衰調整です。なお、「陥没乳首をいかに回しても胸の形が変わるわけではない」という例えはそれなりにわかりやすいと思って書いたのですが、数少ない女子の読者には「オッサンの単なるセクハラ」と認識されてしまうかもしれません。しかし胸は女子のものだけではない。女子の方は女子独自の想像をはたらかせていただければ問題ないのではないかと思います。)

オーリンズのFKSサスペンションは左側のノッチが圧側減衰、右側のノッチが伸側減衰という合理的な作りになってます。サスってのは基本的に三つ叉で連結してるからこれでも機能するのです。そもそも原付などは片側にしかスプリングが入っていないくらいですから・・。

とりあえずセオリーどおり伸側、圧側とも減衰ノッチをセンターに設定してみましたが、その状態だとステアリングにかなりの微振動が来て、正直長距離ツーリングはつらいものがありました。これだけ振動の大きいエンジンがラバーマウントでぐりぐり動いちゃうダイナにあっては、フロントサスもエンジン振動の吸収と無縁ではいられない。で、そこの感度を敏感にしちゃうと、ダイレクトにステアリングに振動がきてしまうのです。

運動性がどうのという前に「腕が痺れちゃどうにもならない」ので、圧側減衰、伸び側減衰を中心から少しずつ緩めていきます。緩めれば緩めるほどステアリング振動は消えて快適になっていくんですが、緩めすぎると機動性のフォーカスがぼやけて霧の中にいるような感じになっちゃうので、エンジン振動を減衰しつつ、運動性がぼやけない程度まで緩めてみました。

結局、圧側が完全に締めた位置から21ノッチ緩めたところ、伸び側が19ノッチ緩めたところで落ち着いています。センターが15ノッチくらいですので、柔らかい方向に振っています。これでもノーマルに比べれば十分締まった乗り味なので、ノーマルが好きな人はまだまだ緩める必要があります。「これで絶対的に満足か?」といわれるとそうでもないんですが、これ以上は締めても緩めても、自分的に良くなる以上に悪くなる部分があるので、妥協点としてここで落ち着いているわけです。

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(サスをいくら変えたところで、車重が変わるわけではない。すなわち慣性の法則は以前と同様に働く。重いバイクばかり乗っている私のような変人は別にして、基本バイクは軽いが正義なのです。)

まとめとして、今回サスを変えた感想を述べますと、「やっぱり高性能サスはいい仕事するなぁ」ということ。コンニャクのようにとらえどころがなかったノーマルサスとはエライ違い。フロントタイヤのメッツラー・マラソンウルトラもサスペンション交換により、今まで以上に良い仕事をしてくれてますし、制動時のフロントのつんのめりもなくなって、姿勢が安定し、路面に沈み込むように止まるようになりました。

コーナリングの速度調整でも今まで以上にリアが使えます(これまでは簡単にリアロックしてブレイクしてました。)し、コーナリング姿勢も安定してます。そうはいっても、それもあくまで車重なりで、クソ重いハーレーが突出して凄い性能を手に入れたわけではありません。私に言わせれば、「この車重のバイクが日本の公道で走る上で安心できる性能をようやく手に入れた」レベルかなぁと。

一方でノーマルの「全然ダメだけど、なんかいいわコレ・・」という味はこのサスではどうしても出ない。そりゃ当たり前です。サスが高性能なのでダメ味がでるはずがないのです。以前より全然走るようになったダイナに満足はしつつも、「ダメなところがハーレーの良さだったんだよなぁ・・」とも感じる今日この頃。これは私がミルウォーキーに乗ってなんか物足りなく感じたものと同じです。(ミルウォーキーはサスや車体だけでなくエンジンから何から全部が良くなってるんですが・・)

結局「進化すると確実に良くなる」けど「それを常に乗り手が良いと感じるわけではない」という、アマノジャクな部分がここでもまた頭をもたげてしまったわけです。しかしそれはしょうがない。乗り物である以上、嗜好と安全性では圧倒的に安全性に軍配が上がる。

私はノーマルサスの安全性に不安を感じ、サスをオーリンズに変えました。オーリンズはノーマルより圧倒的に良く止まるので、そこはまったく後悔していません。しかし、止まらないノーマルを私は決して嫌いじゃありませんでした。それどころか、とても楽しく乗っていたのです。性能に依存しない不思議な楽しさ、不思議な味は、性能重視のサスペンションをどんなに調整してもなかなか出せないような気がするのです。

「こういう得体の知れない奥の深さがハーレーの素晴らしいところなんだよね」

というわけで、調整の終わったオーリンズサスで海岸線を走りながら、改めてノーマルの不思議な魅力に思いを馳せることになるとは・・・この海のリハクをもってしても見抜くことは・・

(なお、これ以上突っ込んでいくとサスペンション出費の妥当性に思考が及ぶので、私は水平線に沈む夕日に目をやり、そこで考えるのをやめた・・・。)