何かと楽しいことも多い大型バイク2台体制ですが、ハーレーとゴールドウィングという大食らい2台は荷が重い。金がかからないときは良いのですが、悪い流れになると止めどなく金が出て行きます。

メンテのタイミング次第では「ヒョーと叫んで上から振ってくるバルログ」のように右も左もわからないままガシガシ削られていくというヒョーハメ状態となる。預金口座はストⅡの体力ゲージのように残高を減らし、ブチキレ奥様のタイガーアパカで天井に頭がめり込むことになります。

今年はゴールドウィングの車検(約8万円)→ダイナのタイヤ交換、フロントリアサスのオーバーホール(合計約15万円)という超絶コンボが短期間に続くことになり、妻から「バカなの?売るの?死ぬの?」と罵声を浴びせられ、あまりの剣幕に「部屋を歩く足音が極めて小さくなる」「扉をわずかに開けてすり抜けるように出入りする」「音を立てずに食器を洗う」など、意図せず下忍ムーブを実行するようになっていました。

余談になりますが、女性の怒りを静める方法。この世にそんなものはありません。解決する方法は私の経験上ただ一つ。「これ以上怒らせないこと」です。なんだそんなことか?と思ってるお若い方。それは甘すぎる認識だと指摘しておきます。

一度怒りモードに入った女性は怒り耐性が極めて低くなり、怒りが乗算されるようになります。これを私は「怒りバフ状態」と呼んでいます。この怒りバフ状態に入った女性を「これ以上怒らせないこと」自体がS級ランクの高難度ミッションです。バフが複数乗ってしまうと、イライラの敏感さが爆上がりして、ヒステリック玉姫様状態に至り、婚姻関係が危なくなる。このようになる前にひたすら己の存在を殺す下忍ムーブで最終局面を回避するのが人類の叡智というものなのです。

しかし、妻からの不興を買おうが、天井のオブジェになろうが、タイヤの溝がなくなってるんですから換えないとどうしようもない。サスのオーバーホールも「やらないという選択肢がない」以上、問題はいつやるかだけ。どうせタイヤを外すのならそのときにまとめてやっとけば整備費安いので、一緒にやってもらうのがトータル的には一番得です。リアサスはオーリンズ本社に戻してオバホする関係上、やりとりに10日はかかる。その間まったく乗れなくなるので夏のバイクシーズンに入る前にやっとこう、ということで7月のはじめに整備依頼をかけました。

行きつけのハーレーショップにタイヤを発注して連絡を待っていましたが、2週間経っても連絡がない。こちらから電話したところ、「あっ。入荷してたんですが、連絡するの忘れてましたぁ~。てへ。」という返事。「何だ入っていたのか・・まぁ重整備の車両が多くて忙しそうだったからやむを得まい・・」と思いつつ整備予約を取りました。後で考えればこの2週間が結果的に悲劇を生む原因になってしまったのです。


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(オーリンズのFKS200シリーズインナーカートリッジサスペンション。オーリンズのホームページより転載。これまで2006年以降49㎜径になったダイナのフロントには物欲をそそるサスペンションキットがありませんでしたが、オーリンズがついに本命を出してきました。)


バイクをショップに持ち込んで、アイスコーヒーを飲みながら、そこに置いてあった最新号のクラブハーレー(数日前に発売されたもの。自分ではほとんど買わないので、1年ぶりくらいに見ました。)をパラパラとめくっていたところ・・

「ん??ん・・ンンッ??オーリンズのFKSフロントカートリッジキットが新発売??ダイナ用?・・フォーク径49㎜につくの??39㎜じゃなくて???えっえっ・・ダイナ、モデルチェンジで消滅したのに今更??・・・またまたぁー悪い冗談(笑)。どうせローライダーには入らないでしょ。」

(店員がオーリンズに電話。)「ローライダーにも入るようですよ。そこそこ人気あるようですが、在庫まだあるようです。そういえば、へっちまんさん、前々からダイナのフロントサス探してるけど、ピンとくるモノがないっていってましたよね。本命のオーリンズがいよいよ来ましたよ。」

「いや・・そ・そうね・・」(ダメだ欲望に負けては・・・インナーカートリッジ交換型とはいえオーリンズ価格だぞ・・スプリング・フォークオイル込みで15万だぞ・・今更この古女房に金を突っ込むのか??・・・これではタイヤ交換とリアサスのオバホ込み30万円というとんでもない金額に・・・だめだ、だめだぞ。)

「いやー。ダイナのサスいろいろ入れてきましたが、フロントオーリンズは僕たちも憧れですねー。良いんでしょうねぇ・・」

「だよねー」(右手がぴくぴく動いている。・・くっ・・静まれ!!俺の右手!!!)

・・私の意識があったのはここまでです。その後のことは良く覚えていません。気がつくと預金残高が30万くらい減っていたので、また悪い病気が出たのでしょう。

ここ6年ほどダイナにはメンテ以外何ら手を入れていませんでしたが、本命のオーリンズサスの発売により、一番の大問題だったフロントサスに9年目で手を入れることになりました。

実は私はいろんな方面から叩かれている純正のヘナチョコサスを(ヨレヨレのダメダメと認めつつ)それなりに気に入っていたので、これまでフロントサスの変更には消極的でした。「ダメ性能だからこそ楽しい」という部分があって、そこがハーレーの哲学的なところ。「気に入っているものを下手に交換すると碌なことにならない」という私の経験からフロントに手を入れるのを躊躇していたのです。

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(サスがチョロいのと300㎏の巨体の二重苦で、飛ばしているとちょっとしたハプニングで死亡フラグが立ち上がる。止まるのをあきらめて、歩道やセンターラインに回避したことも・・。)

しかし、フロントが仕事をしないとせっかくのブレーキも効かないし、車体の安定性にも悪影響しかない。この9年間車体周りのチューニングをしてこなかったのも、「このサスじゃどこ強化してもダメですね・・。このどうにもならんフロントサスこそアメリカの味なのだろう。これを楽しむのがハーレー道というものでは?」と達観していた部分があったのです。

そうはいっても、これまで、フルブレーキが必要になる場面で危険な目に遭っているのも事実。ストップアンドゴーが多く、おばちゃん軽自動車が地対空ミサイルのように殺しにくる道路環境では、たしなむ程度の速度でも、このフロントサスではリスクが大きい。

普段使いはともかく、緊急回避でガツンとブレーキをかけなくてはならない場面でフロントサスがクニャリと沈んじゃうので、リアの荷重が抜けて簡単にリアロックしちゃう。リアブレーキメインのハーレーでリアから荷重が抜けるってのは致命的。

こうなるとリアをどう踏み込んでも制動力は上がってこないので、リアの制動力はあきらめて碌に効かないフロントブレーキだけでなんとかスピードを殺すも予定通りには全然止まれず、エスケープゾーンを探して路肩や車の間に緊急回避しなきゃならなくなる。「いやーん!!そんな簡単にリアロックしちゃダメだろ!!」と、吠えてみても「いや俺そういうバイクだからなー、こういう状況に追い込まれたお前が悪い。これは死にフラグ。いざ逝かん!三途の川へ!」という無責任な答えがダイナから返ってくる。

このように、緊急時にこれまで乗ってきた多くのネイキッドバイクなら難なく停止できるところでハーレーが止まれないというケースは多々あったわけです。(それでも、原付バイクに突っ込んだという武勇伝を良く聞いた昔のハーレーに比べればブレーキはまともになってる。)

今のフロントの味をとるか、バイクとして常識的なサスの踏ん張りを取るか・・悩んだ挙げ句、今回サス交換に踏み切ったわけです。これは、まだまだダイナと付き合うという意思表示でもあります。幸いフロントのイニシャルアジャスターと減衰力の調整はできそうなので、これでなんとかなるだろうという期待と、オーリンズへの信頼が後押しとなりました。

長くなりましたので、インプレッションとぐだぐだのサス調整の顛末は次回で。