4月も後半になりずいぶん温かくなってきました。北陸において冬場カウルのないダイナに乗るのは荒行にも似た過酷さであり、長時間のライディングでは涅槃の境地に至りコールドスリープしかねないので、12月から3月にかけては巨大カウルにより冷気を浴びないゴールドウィングF6Bにばかり乗っています。

この間ダイナはバッテリーチャージャーにつなぎっぱなしで、バッテリーが上がらないようにしているわけですが、きちんと維持管理していても年々上限電圧が下がってきて、春先の始動の際、セルを回す電圧が不足するようになります。電圧不足の診断にはテスターなんて無用。電圧があったってセルが回らなければしょうがないわけですから、スターターの音と反応を確認してバッテリーの生き死にを判断するのが一番合理的といえるでしょう。

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(4月上旬の風景。キーンと澄んだ空気に雲一つない青空。まだちょっと寒いですけど、こんな日は自宅にじっとしてはいられない。)

自分のダイナも昨年の秋頃、フル充電状態にもかかわらず、スターターボタンを押すと「ウニャンウニャン」とすでに「おかめ納豆をかき回す」ような回り方だったので、あーこりゃ今年の春はきっと始動しねぇぞ・・とイヤな予感にさいなまれておりました。

春になり「クハハハ!!さぁよみがえるがよい!我がダイナよ!!」とアジりまくってスターターボタンを押しましたが、縁側でくつろぐニャンコのような鳴き声で「ウニャニャ」とグズるのみ。充電管理はチャージャーでずっと行っていたので、原因は上限電圧の低下、つまりバッテリーの寿命です。しょうがないので、ストックのバッテリーにジャンパをつないでとりあえず始動させ、ディーラーまで行って新品の純正バッテリーに交換してもらいました。バッテリー交換はこれで通算3回目。

バイクの調子を維持するには昔から「良い火花、良い混合気、良い圧縮」が基本です。バッテリーとプラグは良い火花の元になるものですから、ダメになってもケチってはいけない。特にハーレーはバッテリーが命。上限電圧の下がったニャンコちゃんバッテリーで安易にツーリングに向かい、遠く離れた出先でセル回んなくなっちゃった場合には300㎏のダイナを道中押しがけするという「極刑」に処されてしまう。

昔の軽い2ストならエンジンの抵抗も少ないし車体も軽いしでジョギング気分で押しがけできましたから、「バッテリーなぞタダの電圧安定装置!上がったところで押しがけ始動よ!クッハハハハッ!!」と余裕ぶっこくこともできたのですが、ハーレーだとそうはいかない。クッソ重いし、ビックツインの抵抗の凄まじさで後輪がとにかく回らない・・・。

私のようにソロで走ってる運動不足の非力系ライダーにとって、この車体と各種構成部品の重量は危機脱出の際の高い壁として立ちふさがる。ハーレーオーナーは独特の鼓動感に酔いしれる方が多いと思いますが、それは「強度が高く重いピストンと男らしい圧縮」で生み出されていることを忘れてはなりません。その回転抵抗のデカさたるや、2速押しがけだとクラッチリリースと同時にシートに乗っかり「ドラァアアアアア」と全体重かけても私の体重68㎏程度のオモリじゃ後輪ロックしちゃって全然ダメ。

3速なら全体重を浴びせればロックせずに後輪回るのでなんとか押しがけ可能なんですが、それはそれで実に香ばしい生き地獄。同じ300㎏クラスでもダイナの押しがけは昔乗ってたカワサキの6気筒Z1300より全然大変です。多気筒の方が後輪ロックしないだけマシだといえましょう。

正直300㎏クラスの押し掛けはあまりの疲労に血糖値下がって目眩がしてくるレベルです。全精力を注ぎ込んで数回押しがけを試みたあげく、フラフラになって立ちゴケした日には修理費はバッテリー代金くらいじゃきかない金額になるでしょう。

ハーレークラスのバイクは私の経験上「バッテリーが死んだら道中終了」くらいの危機感をもつことが大事。皆さんも私のように出先で「孤独な押しがけにレッツチャレンジ!という悲しき受刑者にならないようバッテリー電圧には十分気をつけて下さい。

まぁそんな汗臭い話は置いておいて、春一番、バッテリー新品のダイナで走り出してみると「・・ああ・・やっぱりいい・・」。F6Bから久しぶりにダイナに乗り換えても全然飽きるなどということがなく、シミジミとvツインの良さを感じるところが素晴らしい。春の日差しの中、ぼーっと走っていると「バイク乗りの幸福ここにあり」と心の底から思う。

その感覚はハーレーがF6Bより高級だとか、機械としてどっちが上とか、そういうことから生まれるものではなく、9年間という長い時間の中で、自分が「気持ちいい」と思えるようにバイクを最適化し、すりあわせ続けてきた結果であろうと思います。ダイナと私のシンクロ度が非常に高くなったことから生まれる古女房の安心感といってもいいのかもしれません。

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(春先の湖水は雪解け水でエメラルドグリーンに染まってます。)

私はこのダイナに性能面で多くを求めないかわりに、乗っててストレスを感じないよういろんなところに手を入れてきました。ハーレーってノーマルだといろんなところに細かいストレスがチョコチョコあるバイクですが、それを改善するパーツが豊富にあって、時間をかけてもかまわないなら、自分にぴったりなじむとこにまでもっていけるのが良いところです。

こういうフィーリング重視のカスタムは地味な小変更の繰り返しとなり、とても気の長い作業になるわけですが、年を食うと綺麗でイケイケの彼女をとっかえひっかえするより、おいしい味噌汁を出してくれる優しい奥さんと所帯を持って長い付き合いがしたいと思うようになる。

ほどほどのスピード領域における楽しさとほどほどの加速感をストレスなく楽しむために、まず、シート、ハンドル、ステップなどのポジションを3年ほどかけて自分に合わせていき、殿様乗りには厳しい風当たりをビキニカウルで逃がして快適な巡航速度を時速10㎞ほどかさ上げしました。ビキニカウルにしたのは私が昔大好きだった4気筒ドラッガー、エリミネーター900の影響かも。

「なんでビックツインにビキニカウルやねん!なんでエリミネーターに寄せるねん!!イメージ違うっ!!」って言われても、「えー!?だってロケットカウルとかビキニカウルとか格好いいんですもの~。」ってだけ。そのうちローライダーSというビキニカウル付きのダイナが出てきて、ホラね!ハーレーだってニューモデルにビキニ採用したじゃん!!と少し溜飲を下げました。

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(格好良すぎるロケットカウルの名機。ラベルダ750。イタレリの模型もってます。ロケットカウルやビキニカウルが好きになると変態度がかなり高まっていると言えるでしょう。)

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(スズキの名車、バンディット400Vリミテッド。ラベルダに比べるとイマイチ垢抜けないロケットカウル。初めて見たときには「なんだこれは!キモッ!」と衝撃を受けましたが、今ではこのなんとも言えない味わいがジワジワくる。さすが変態道のスズキです。)

動力性能的には18000回転でのトルクの落ち込みとグズりを点火時期と空燃費の調整で消し、この回転域を5速で走れるようにすると共に、音量が静かで少しヌケのいいマフラーを装着して高速域の不自然なまでの回転詰まりを低減。サスペンションもフワフワとした大陸系の味を残しつつ、動きが雑で接地が荒かった部分をリアサス換えて調整。タイヤもユルいサスに合わせていろんな銘柄を試したあげく、自分が好ましいと思うタイヤと空気圧にたどり着くことができてます。

大体6年くらいさわり続けて「ああ、これで一通り完成したなぁ・・ダイナはこのくらいが一番気持ちいいな・・」と感じて以降、メンテ以外では一切手を入れていません。

目指したのは違和感を消し、自分を癒やすための養老チューンなので、金と時間をかけた割には性能数値的にノーマルとそんなに違いはないでしょう。下手したらノーマルより遅かったりするかもしれない。でも体に染みこむ旨味の濃さと自分との親和性は購入当初とは全然違っています。塵も積もれば山となる。それが9年の歳月の歩みであり、今の自分が求めているチューニングなんだろうと思ってます。逆にF6Bはノーマルの完成度が高すぎて、どこをどうイジっていいかさっぱりわからず、頭の中からチューニングプランが出てきませんので、今のところヘッドライトをLEDにした程度でドノーマル。今後もイジる予定はありません。

昨年、新型ダイナや新型ゴールドウィングが発売、発表されましたが、公道を走るバイクは性能だけで語るべきものではないと考えていますので、自分にとって「性能がいい=より良いもの」ということには必ずしもなってません。この2つのモデルに関しては、私がそれぞれのバイクについて好みだと思っている部分がさらに良くなっているかどうか?という部分が重要。全体的な性能が嵩上げされていても、自分が好んでいた部分が平均化されてしまっていたら、私にとっての魅力は薄れることになる。

新型ダイナについては、私の好みに小変更を繰り返し、あらゆる面でなじませてきた古女房のダイナにノーマルの新型がかなうわけがなく(試乗した感想も同様。)、乗り換えの選択肢は現状ほとんどありません。でも、ゴールドウィングは、ほぼノーマルの勝負になるので、新型に乗ってみたいなぁとは思ってます。

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(この美しい景色を走りながら堪能できるのがバイク乗りの特権。あと何年バイクに乗ってて、あと何回この景色を見られるのだろうか?最近そんなことを考えます。)

まぁ、どんなに性能や細部にこだわろうが、バイクは走るためにあるのであって、一番大事なのは桜舞う春先の晴天の休日を、自分が最高と思えるシュチュエーションで走れることなんだろうと思います。バイクはまさにその瞬間のためにあるといっても過言ではない。どんな素敵なバイクも神様がくれた最高の一日にはかなわない。所詮趣味の行き着く先は自己満足。自分が良ければ全て良し。

春の訪れの喜びを前にして、今年もこうしてバイクに乗ってる。その事実の前には、それ以外の細かいことは、もはやどうでもいいことなのでしょう。