ガレージキット、グリズリーパンダ、アルトアイネス製作記、その3です。

現状、私のブログは模型の記事とバイクの記事を交互にアップしていってるわけですが、バイクに関しては自分でも「行きつくとこまで行きついたかなぁ・・」という心境、いわゆる「無の境地」に近いところまで到達したという感覚があり、結構マトモに書いている気がします。

実際は「無の境地に到達しちまったぜ・・クク・・ククク・・なんていってる人間が「無の境地」に到達していた試しはなく、無の境地だと思っていたら実は「単なる若年性認知症で脳みそがトロけていただけ」というオチも十分あり得ます。

まぁ一定の境地に到達したように感じたからといって「目から怪光線」が出るとか、「固有結界が展開できる」とか「大悟も解脱も随喜自在」とかそんなわけはなく、ただ全てのものを否定せずフラットにみられるとか、バイクという大きなカテゴリの中で自分自身の好む立ち位置がそれなりにわかるようになったというような程度の感覚です。

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(今回もコレの製作記です。野外で撮影。クリアパーツの透明度がわかります。)

インプレとか評価というのは、どの方向から見るかで全然変わってくるので、自分の立ち位置や評価軸がぶれるようでは、一貫性のあるものにならない。バイクに関するブログで「それなりに言い切ることができてる」というのは現在のスタンスが定まってるからで、裏を返せば、他人の評価に惑わされることなく、異なる見解についても「立ち位置の違い」と受け入れられるようになったともいえます。

しかし模型は違う。いつまでたっても完全素人。立ち位置などは定まってないし、命に関わるものではないので無理に定める必要もない。私はカテゴリーすらも絞り込めない雑食性のダボハゼモデラーです。模型歴が長いだけで特段の技術も定見もありません。この素人という立場はもの凄く楽で、何も考えず、思った通りに面白おかしく書き散らすだけでいいのです。オタク趣味をフル動員してグダグダな文章を書いても

「低レベルのバカの言ってることだから許してあげるわっ。マッタクどうしようもないんだから。心の広い私に感謝しなさいよねっ!!」

というツンデレテンプレート的な悪態と共に「全てが許される」という安心感があります。そう、下手クソ相手には人は誰しも寛容で優しくなれる。これがうまくなればうまくなるほど人はその仕上がりをうらやましくも小憎らしく感じ、アラ探しをはじめるものなのです。

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(ツンデレ台詞を考えていたら、不意に描きたくなって仕上げたイラスト。虫を見るような目がたまらない。昔はアスカのようなツンデレにも惹かれましたが、最近はツンデレレベルではもの足りなくなり、デレ要素など微塵もなくひたすら罵ってくる系女子に抵抗しがたい魅力を感じる。病気は年々進行中です。)

昨今市販されてる新作フィギュアの仕上がりには、各方面からいろいろな評価や文句が出て参りますが、邪神セイバークラスのダークマターともなれば、評価の域を超える。人はその異形の出で立ちに感銘を受けてしまうのです。「ダメなものは優しく生暖かく見守りたい。」これが人の持つ父性や母性なのかもしれません。そして私の駄ブログは皆様の父性に似たナニカによってかろうじて存在が許されていると、まぁこういうことになっているわけです。

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(フィギュア界屈指のダークマター、邪神セイバー。中国フィギュア工場が生んだ奇跡の造形。私の中ではニャルラトホテップに並び立つ異界の神。崇拝する信者は多数。)

以上は私の側の問題なのですが、見て頂く方々にとって、私のバイクブログと模型ブログの一番の違いは何なのでしょうか?

端的に言うと、バイクの方は多くの方が評価を注目しており「我がこと」のように注視しているのに対して、私のフィギュア製作は「どのような惨事になろうが見てる方はどうでもいい(笑)。」

「人の不幸は蜜の味。かつそれが自分に跳ね返ってこない。」これが大事です。安全地帯から見る他人の七転八倒が「暗い喜び=深い愉悦」につながる。だから私の模型ブログは無害で無益な純粋娯楽になりうるわけです。

私も模型ブログはバカ丸出しで気楽に書けて非常に楽しい。数学者は「自らの研究が世の中に何ら貢献しないことを祝して乾杯する」らしいですが、私のブログもそれと同様、世の中のお役に立つことは金輪際なく、「駄文ばっちこーい」な無法地帯。テキスト入力時間もバイクのブログの半分でロクに推敲もしてません。私のブログにバカな笑いを求めてる方は、模型の方を読んでいただくことをお勧めします。

「意味不明な前置きはもういいです。いつ本題はじまるの?ねぇ!」という天の声が聞こえましたのでそろそろ前回の続きに入ります。

いざ製作段階になり「右足が2本ついている!!」ということが判明し、萩尾望都の「11人いる!」的な衝撃が走ったアルトアイネスのガレキ製作ですが、私には「新規に左足をフルスクラッチする」というような製作能力はありません。必然的に「なんとかしてくださいぃぃぃいいい」と水呑百姓のような勢いで販売元のグリズリーパンダ様に泣きつくのが予定調和。

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(悪夢の右足×2。アフリカツインは許されても右足ツインは許されぬ。コレのどちらかを左足にしなくてはならない。)

パーツリストの連絡先メールに上記の写真を添付し「後生ですから左足送ってくれ!」と頼み込んでみました。

で、これに関するグリズリーパンダこと「ぱんだまん」さん(←グリズリーパンダのメール発信名。私のペンネームが「へっちまん」なので「へっちまん」と「ぱんだまん」のやりとりという、なんともシュールなメール交換になってます。)の回答ですが、結論から申しますと、「もうしわけありませんが、どうにもなりませんわ。な~む~。」というものでした。

理由を要約しますと①発売から相当期間が経過している。(約2年)②キャストの型がもう存在しない。③モデリングデーターは諸般の事情でない。ということであります。

このキットはガレージキットをベースに「キューズQがすでに市販化」しています。つまりグリパンさんはこのフィギュアの知的財産権をキューズQにどこかの時点で売却したわけで、権利譲渡した以上「自分たちが同様の製品を作成することはもうできない」ということだろうと思います。まぁこれは当然ですんで、ぱんだまんさんが「面倒くさいから対応しねーよ」というのと全然次元が違う話。契約上できないんですから、ぱんだまんに罪はない。

ガレージキットは「購入したらすみやかにパーツチェックをし、欠品パーツがあった場合は速やかに販売元にご連絡」というのが常識になっていますから、何年も積んで放っておいた私が悪い。販売元にパーツ在庫がなく、生産予定もないならそれに文句を言う筋合いではありません。

というわけで皆さんもパーツチェックはしっかりして早々に対処しないと私のような酷い目に遭うことになります。ヤフオクで落札する際にも出品者にパーツ確認を要請した方がいいかもしれませんね。

いずれにせよ「ぱんだまんが対処できない」となればこちらで対処するしかない。考えたあげく「もうこうなったら右足を左につけちゃえばいいじゃない!」「え??それじゃあどちらも右足じゃないかって?バカなの?右足でも左についてれば左足なのヨォオオオオオオ!!!」 という医学的には目も当てられない酷い結論に達しました。

幸いにもこのキットは右足も左足も黒一色の塗装でアイネスの脚部アーマー部分に直接足が接続し、しかも接合部の形状は右も左もほぼ同じで「ごまかしてね❤」と言わんばかり。加えて、私のような正攻法で戦わないゲリラ野郎はゴマカシスキルが極めて高く、モラルも低い。もう「どう誤魔化そうか?を常に考えている」といってもいいくらいなのです。通常火力で勝てない場合は闇討ちスキルを上げていく。これが八丁堀的仕事人の大人の汚さ、外道戦法であります。

レジンキャストは熱湯につけ込めばある程度は変形させることができますので、パーツリストの形状を確認しつつ、激アツの熱湯で右足を伸ばしに伸ばし、その上でポリパテで盛ったり削ったりしながらなんとか右足を左足らしくしていくという外科手術を行っています。

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(なんとかごまかした完成図。熱湯につけてストレッチ。左足は右足より相当伸びています。お湯って凄い。)

これでなんとかなるんですから私はガレキの製作においては本当に運がいい。小スケールで右足と左足の形状にさほど違いがないアルトアイネスだからできたことで、それ以外のガレキでは多分こんなリカバリーはできず悲しみのお蔵入りだったことでしょう。

なにはともあれ、問題がひとつ解決しました。次回はウィングパーツの製作と相成ります。