※新型ゴールドウィングがフルモデルチェンジして1年が経ちました。このブログは昨年アップしたものですが、ライブドアブログへの移行にあたり、インデックスが全部おかしくなったので、その部分を修正し再整理し、もう一度アップしなおしたものです。明日は新規のブログを投稿します。

新型について全部きっちり感想を述べようとすると長くなりますので、今回はまず誰もが一目でわかる「デザイン面」についてちょっと思うところを。

※なお下記に新型ゴールドウィングインプレッション一覧のリンクを貼っときます。お気に召したらご笑覧下さい。

そもそもデザインなんていうものは正直好き好きだと思いますし、こっちはデザイン学校とか出ているわけじゃないのでほとんど素人の主観になってきます。素人主観ですから言い争いになっても、「だって僕はそう感じるんだもん❤」で異論を封殺できるところが素晴らしい。

「なんてヒドイ!!無責任!!」と思われるかもしれませんが、実際金出して購入するお客はそんなもんでいいんです。どんなにデザイン論をこねくり回したところで、金出す人間に刺さらなきゃどうしようもない。


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(新型ゴールドウィング・ツアー。個人的には悪くないと思います。「知恵の輪みたいに組み上がってますんで、手を入れる隙間なんてありませんよ!」ってバイクが言ってる。)

シド・ミードの∀ガンダムがどんなに優れた工業デザインであったとしても、評価するのはデザイナーではなくアニメファンであり、アニメファンに刺さらなければ収益など出ないんですから、デザインというものはユーザー層を想定した上での練り上げが大事なんです。そして想定ユーザー層は私のようなGL乗りのはずですから、この新型のデザインに関して私は言いたい放題というわけなのです。

最初に新型を見た時の感想は「勇者ライディーンにフェードインできそうなデザインだな・・」というもの。確実にヒーローバイク的な要素は増しているし、全体的にシャープで格好良くなってる。現行モデルにあった僅かな隙間を真空パックでギューッと抜いた感じですかね。まとまりとしてバランスとれてるし、小手先をいじりました感も少ない。機械が内部に詰まっているな、という「みっしり感」は確実に増してます。

「なんかフツーじゃね?まとまってるけどインパクトに欠けて物足りねぇよ。」という人もいるとは思いますが、ゴールドウィングはモデルライフが異常ともいえるほど長いバイクなので、奇をてらったデザインを採用しても長い目で見ると「それが飽きに繋がってしまう」可能性がある。

ブーム云々のバイクではないので短期でバカ売れする必要がありませんから「流行のアイコン」ではなく、ある程度飽きのこない普遍的なデザイン要素で身を固めないといけないバイクだといえるでしょう。

過剰でもなく、物足りなくもない。私はゴールドウィングはそれでいいと思います。なお、今回の新型ゴールドウィングのデザインでは特に下半分にそそられます。6気筒エンジンと駆動系メカが現行に比べて大幅露出しているのがいい。現行がフルカバード的だとすれば新型はハーフカウル的。メカ自体をデザインの一部にしてしまうというのは昔からよくある手法ですが、バイク乗りには刺さりやすいんじゃないでしょうか?(カバー外さなくていい分、整備も一手間減りますし。)

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(現行と異なり、縦寸法がかなりコンパクト。現行はどう見てもコレはデカい、長いという感じでしたが、新型はバニアとリアケース外すと普通のバイクっていっても通用しそうなバランスです。)

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(新型に対してかなり長い現行型。マフラーの長さを見れば一目瞭然。堂々とした押しの強いデザインで、旧型の方が好きという方もご年配には多いかな?と思います。なお、妻には新型と旧型が同じにしか見えない模様。)

そもそもデザインを語るつっても、ゴールドウィング系って搭載しなくてはならない必須機能が多すぎてそれだけで必要な形がほぼ決められてくる。「水平対向6気筒エンジンをフレームから地面に低い位置でつるして、山ほど収容できるバニアケースと豪華なパッセンジャーシートつけて、シャフトドライブで後輪を駆動し、デカいカウルでライダーを走行風から遮断する。」というコンセプトを維持しようとすると大枠の形状はなかなか動かせない。

そりゃもうぶち切れてもいいっていうんなら、族車のようにマフラーカチ上げたり、鬼ハンにしたり、ライトを防空サーチライトのように天に向けたり、バニアケースを引きずったりとやりたい放題なわけですが

「・・・車検通りませんから。ええ。・・・・」

思い起こせば昔勤務していたバイク店に「ザク・タンク」「サイコ・ザク」並の魔改造バイク(族車)が持ち込まれることがありました。これを普通のザクⅡに戻すことは至難の業。ガンダムでジオングの設計者がシャア大佐に「足など飾りです!!」と言っているのを見て「いや足いるだろ!それ言っちゃったら手も顔も飾りだろ!!!」と思ってましたが、これと同じようなノリで「サスなど飾りです!」と言い切ってスティードあたりのリアサス抜いてしまうお客さんが相当数いました。(当然ウチの店では抜いてません。どっかの店で改造してくる。)正直危ないです。マジで。

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(まるでナマコンミキサーを背負ってきたような魔改造ザク。その名もサイコ・ザク。土建屋のように見えるが強い。搭乗するためには両足両腕を切断しなくてはならないという、Me163「コメート」並のトンデモ兵器。)

アニメなら宇宙の塵と消えるのをみて「奴が死んだ!・・何故だ!!」「小僧だからさ・・プッ・・馬鹿・・(笑)」とほくそ笑んでいればいいわけですが、バイクはリアルに人の命を乗せるものなので、笑いごとではない。正直怖くて見てられません。いやもう「サスを飾り」というならフロントサスも抜いてみてと。「自由すぎる魔改造はやめてぇぇぇええええ!!」と声を大にして言いたい。(以上現場の一メカニック経験者からの声でした。)

このように、なんでも自由自在で自己責任な個人と異なり製造物責任を負う商業デザインというのは機能と安全性を最高効率で実現した上でさらにそれをコンセプトに沿ったデザインで包まなければならないわけですから、自由度があまりない。しかもそこへもってきてコスト制限まで乗ってくるわけですから大変。「このデザインを実現するのにカウルが100円コストアップします。」「却下である。」てなもんです。

なお、この手のクルーザーはその巨体故にまず「デケェエエエ!!!」ってのが第一印象&インパクトなところがあるので、「その巨大さをスマートに見せる」「オラオラ感全開で見せる」のかでデザインがわかれるように思います。オラオラ感を重視すればインパクトは強烈で刺さる人には刺さるのですが、一方で「こんなデカいの乗れないかも・・」と乗り手の不安もあおることになる。

その点、今回のゴールドウィングはずいぶんスマートにキッチリまとめてきたな・・という印象です。これに対して現行モデルは押しの強い、どっちかというと大きく見えるデザインです。現行の中には凄まじく電飾され「イカ釣り漁船」みたいになっている車体がありますが、日本の伝統漁業である「イカ釣り漁船」に見えるということはその電飾がそれなりにハマっているということ。そういう意味では現行モデルはある程度のデコレーションを許容するおおらかなデザインだったと評価できるでしょう。
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(青島文化教材社の凄キット。イカ釣り漁船第二十七漁栄丸。何故コレをキット化してしまったのかと小一時間問い詰めたい。)

でも今回の新型ゴールドウィングはスキなくまとまっているので電飾系はあまり似合わないかもしれない。そのため電飾好きなユーザー層とはいささか相性が良くないかもしれませんね。(それでもやる人はやるのがこの世界ですが。)

そんなわけで新型のデザインについて私が思うところをつらつらと書いて参りました。

まぁ、最初に申しましたようにデザインは好き好きです。私も写真見ただけですので、実車見たら「サイコー」とか「ダメじゃん」とか、また感想が変わるかもしれませんし、私の意見が世間様からズレていたからといって五体投地して謝るわけでもない。

「これは、あくまで個人の、しかも現時点の印象と言うことでご理解頂きたい(シン・ゴジラの花森防衛大臣の口調で)。」

次回は注目の機能面についても私の主観的感想を書いてみようかと思ってます。