昨年の年末にバッテリーの管理をかねて寒い中ハーレーにチョイ乗りしてきました。

冬場は巨大なカウルのあるゴールドウィングF6Bにばかり乗ってるんですが、たまにはダイナに乗っとかないとバッテリー電圧が下がっちゃうので、「定期的にエンジンかけないと・・。」と思い、気温3℃の中、くるっと近場を回ってきたのです。

「冬場はバッテリー外しとけや!」とか、「メインヒューズ抜いとけば?」という意見もあるわけですが、ハーレーは中毒性があるので冬場もふらっと乗りたくなる。そんなときバッテリーが外れてると完全に萎えちゃう。ハーレーのバッテリークッソ重いんで、取り付けには結構なガッツがいりますから・・。(我ながら不精すぎ・・)

ダイナって基本とてつもなく頑丈なんですけど、国産に比べてなんだかんだと細かいところで雑なバイクであることは間違いない。TC96も後期型にもなれば滅多に故障しなくなったとはいえ、やっぱり国産と比べて「ハハハッ・・・・」っと力なく笑ってしまう部分は結構あります。

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(少しでも新年らしい写真を・・ということで霊峰白山。新春といえば富士山なんでしょうが私の自宅からは「おっぱい山」と呼ばれているフタコブの山とこの白山しか見えません・・)

冬場や春先のエンジン始動時に感じるのは「これだけの大排気量にもかかわらず、なんでオートデコンプがないんじゃー!」ということ。

デコンプというのはエンジン始動の時にバルブをちょいと浮かしてシリンダー内の圧縮を抜き、クランクを回しやすくする機能。キックの頃のSR400なんかは上死点を出すのに手動のデコンプがついていました。この機能をつけることによって、クランキングが軽くなり、始動時のモーター電力を抑えられ、気持ちよくエンジンを始動させることができるという超便利機能です。

しかしハーレーは抵抗が極めて大きい大排気量の2気筒エンジンなのにこれがない。「素人でもエンジンイジれるくらいの単純さが大事。複雑なのがとにかくイヤなの」というポリシーはわからんでもないですが、大排気量Vツインを「セルモーターに大電圧かけて無理くり始動しましょう!さぁやりましょう!!」という強引さは「困ったときは物理で殴る」というアメコミヒーローのようで、繊細な日本人としては「こんの脳筋がぁぁああ!!・・」と頭を抱えてしまいます。

国産ってほとんどがオートデコンプ標準装備なんで冬場でもエンジンかけると「キュルキュルキュル、ブオーン」って気持ちよく始動する。でもハーレーってデコンプなしの力技ですから、この「キュルキュル」という軽い調べがない。圧縮と電力の純粋な力比べになっちゃってるんですね。

そんな状況ですから「バッテリーにはまだ電力が十分残っているはずなんじゃが・・」という状況でも電圧が一定レベルに達してないとアウト。国産ならバッテリーが弱っていてもなんとかなるところでも、ハーレーはあかんのです。

長期始動しない状態での春先の一発目のクランキングは、

「ウウン、ウウン、ウニャンウニャン、ニャン、ニャン、ニャ・・・ドドドドドドドッド」

って感じで泣き泣きで始動するか、

「ウウン、ウウン、ウニャンウニャン、ニャンニャン、ニャニャニャ・・ニャー」

という感じでお亡くなりになるかのどちらか。知らず知らずのうちに「もう少しだっ!!頑張れっ!頑張れっ!頼むっ!」とバッテリーを応援してしまっている自分がいたりします。(まぁ大体はエンジン不動のまま息絶えるのですが・・。)隣で始動一発元気よくアイドリングをはじめるグロムを横目に、

「ニャンニャンって・・お前はネコかっ!!鷲じゃないのかっ!!」

って苦笑つつ、予備バッテリーにジャンパを繋ぐことになる。
でもオートデコンプがあれば、多分ここまで酷くはないと思うんですよね。

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(相変わらず雑で中身のないハーレー漫画で画面を持たしてます。ちなみに衝撃を受けた時の顔っていろいろありますが、私は美内すずえ画伯の白目顔がもっとも秀逸だと思います。さすが少女漫画界の大御所。天才。)

国産乗りとしては「ええーーーい!傾きを検知してウインカーを消す便利機能はつけられるのに、なーぜオートデコンプがない!!そんなとこ進化させる前にまずデコンプじゃないのっ!!ねぇっ!!」と突っ込みたくもなるわけです。

ここら辺がハーレーのわけわかんないとこなんですが、「独善による不便さ」は裏を返せば、「個性、信念、伝統」などとも言い換えられるわけで、まぁ見る側がどっちに立つかで評価は変わる。

ただバイク雑誌で見かけるほど、信念や伝統側に立つ人って多くない気がするんですよね・・。特にベテランはほぼ無に還ってますからね。購入当初は「これが信念だ!伝統だ!!多少の不便もそれが魅力!!!」なんて強がっていても、長年乗って古女房みたいになってくると「あぁ、これがこいつの悪い癖だよ・・。無駄に手間と金食うんだよなァ・・まぁしょうがねぇわな・・」なんてしみじみ来てしまう部分でもある。そこら辺は「人の世の離婚」も「機械の買い換え」も違いがないかもしれません。

年代物のビンテージハーレーもトラブルの多さに置物と化し、手放しちゃう人もいると思うし、はじめは許容できてもやがてトラブルと高額整備費の連続ボディーブローでマウスピース吐いちゃう人もいるかもしれない。私ですらダイナ好き好きいいながら「えーー、もうバッテリーの電圧上限下がっちゃったよ・・またバッテリー買い換え???ウグググ・・・」と思ってるわけですし・・。

デコンプなんてメリットに比べたらコスト的には微々たるもの。最近はモンキーのボアアップキットにすらデコンプが付いているというのに・・と思ってたらミルウォーキーにはついにオートデコンプ付いたらしいです。

「オートエアコンプレッションリリース」というめちゃ格好いい名前ですが、これは海外での呼び方で単なるオートデコンプです(笑)。豚の生姜焼き定食ポークジンジャーランチというとかっこよく聞こえるのと同じ。

デコンプ付いたミルウォーキーはかなりポイント高いですヨ。空冷ハーレーのアイデンティティを揺るがすような油冷機構なんかより、こういうツボを押さえたチンマイ改良が私の評価点には影響する。まぁその程度じゃ買い換えませんけどね。

以前ならクソ重く高額なハーレー専用バッテリーを積まなくてはならなかったところ、低電圧で安いバッテリーでも十分始動でき、春先の始動不良リスクをも低減し、軽量化とユーザーの利便性に繋がる。そして機構的には特段複雑でもない。これはポイント高けぇ。

バイクは何がなくてもエンジンを始動しなくちゃはじまらないわけで、そこに問題点を抱えていると不安要素は大きいわけです。私のような雪国でバイクと長いこと付き合おうとする人には地味に有り難い機構なんですね。

「ウニャンウニャン」とネコのように泣きを入れてくるセルモーターを回しながら、オートデコンプという機能になんとなく思いをはせた年末でした。