ずっとハーレーの話題が多かったので、今回はもう一方の愛車「ゴールドウィングF6B」について少し・・。

季節はすでに秋。残暑も和らぎ、日差しも穏やかになってきて、バイクには良い季節になってまいりました。そんな中、「F6Bのサマーインプレッション」という、いささか暑苦しく、季節外れな倒れこみのブログになってしまっております。申し訳ございません。

このブログ、実は真夏に書いたのですが、夏場に上げるには耐えられんほど暑苦しく、読み苦しいものだったので、涼しくなるまでアップするのを待っていたのです。

それでは本題。

ぶっちゃけ夏場のバイクの一番の敵は「暑さ」です。そんな中、GL1800を検討している人から「夏場は熱いですかぁ?」という問いかけがあった場合は「いやこのバイク全然熱くないです。」と自信を持ってお答えできると思います。

夏場のカウル付きリッターバイクといえば、その排熱の凄まじさは大型バイク所有者なら誰もが知るところ。ライダーは蒸し器に入れられた小籠包のようにフワフワに蒸し上げられ、環八の渋滞でトラックの間に固定された日には、「おびただしい発汗」「脇の下の臭いフルパワー&男の汗の香り」で全体的に酸っぱい星人と化していくわけです。

私は20代の後半に東京という魔界から地方に住まいを移しましたので、もうそこまでの殺人的な渋滞熱地獄に遭うことはありませんが、都市部在住の方は環八の灼熱地獄を常日頃経験しているものと思います。お気の毒です。心からお悔やみ申し上げます。合掌。

F6Bは水平対向6気筒1800ccという凄まじい熱量を発するエンジンをフレームからぶら下げているわけですので、通常であれば強烈な熱に意識を失いかねないわけですが、そこはさすがホンダのフラッグシップ。見事な排熱経路で、全くといっていいほどライダーに熱を伝えてきません。

イメージ 2
(側面展開されるF6Bのラジエター。走行風はイマイチ当たりが良くないので、基本冷却ファンで冷やします。まさに車。)

渋滞にはまるとF6Bは「ぶわぁわあわあわあああああああぁあぁ~ん」と弁慶の吹くホラ貝のような音を立てて冷却ファンを回転させはじめますが、カウル左右に展開されたツインラジエターによりエンジンが生み出す膨大な熱量はバイクの側面方向に排出され、乗り手は実に平和。1800ccもの排気量を持つカウル付きバイクの常識から考えるとこれはとんでもないことです。

通常大排気量フルカウルバイクで大渋滞にハマりますと、「熱で精子が固まるのではないか?」と思ってしまうほどの強烈な放射熱を股間や太ももに浴びることになります。このF6Bを購入する前は「凶悪な排熱はパワーと引き替えに大排気量バイクが背負った一つの業」のようなものだと理解していたわけで、「こんな快適な1800ccはあっていいのかっ、いいのですかっ!!少しは蒸し上げてもらわないと大排気量バイクに乗ってる気がしないんですがっ!!」と青年の主張を炸裂したくなるほど感動的です。

イメージ 4
(ラジエターの裏側に巨大な冷却ファンがあるのがおわかりでしょうか。これでラジエターを冷やすと共にラジエターの熱を側面方向に叩き出します。)

では、このような素晴らしい排熱処理によって夏場のF6Bが快適かというと・・・残念ながら、まったくそうではありません。

ここで「F6Bは熱いですか?」という質問を「F6Bは暑いですか?」にかえたらどうなるのでしょう?答えは「イエス!高須クリニック!!ミイラになるくらい暑い!!」

そうF6Bは熱くはないが猛烈に暑い。理由は簡単。冬場に冷気を徹底的に防いでくれたゴリアテの盾のような巨大カウルが夏場は完全に走行風を遮断して、ライダーの冷却を阻害し、干物化を加速させるからです。

F6Bはエンジン熱を「完全に遮断」しているにもかかわらず、エンジン熱を丸ごと乗り手に叩きつける空冷ハーレーの「3倍くらい暑い。」F6Bに乗っているとしみじみ気づく。「どんなにエンジンを完璧に冷やしても、所詮ライダーは空冷なのである。」という事実に・・・。

ライダーの唯一の冷却媒体である走行風をほぼ完全にシャットアウトしたF6Bの夏場はまさに地獄。エンジンの猛烈な熱さにこそ晒されることはありませんが、立ち乗りでもしない限りさわやかな風を感じることもできないという二律相反。そこは「加熱もなければ、冷却もない」という宝具アヴァロンを展開したかのような、まさにライダーの理想郷。ただ、呪うべきはこの理想郷には灼熱の太陽を防ぐ天井がない・・・。(やばい「バイクの理想形はジャイロキャノピー」という恐ろしい結論が見えてきた・・・)


イメージ 1
(実にくだらないF6B漫画。余談ですが、見ておわかりの通り、私の絵はうる星やつらの頃の高橋留美子に大きな影響を受けています。あとは釣りキチ三平の矢口高雄。F6Bがなんでメイドなのか?それはメイドのように乗り手を介護してくれるから&単にメイドが描きたいだけ。)

結果的にライダーはバイクにまたがり「炎天下でひなたぼっこ」を延々続ける状態になる。そして、気温32度を超えてくると、もはや私には耐えがたい。「所詮お前はF6Bという至高のバイクを走らせるための機能肉に過ぎぬ!!バイク様のために耐えよ!!」というご意見もあるでしょうが、我慢が許容できるようなら、そもそも安楽バイクのF6B買ってない。我慢は重さだけで十分。

そもそもバイクはシュチュエーションのほとんどが「我慢」の一言で乗り切れちゃう。「寒さを我慢」「峠で我慢」「ケツの痛さを我慢」「遅さを我慢」「積載性を我慢」など、ありとあらゆる事象が我慢と忍耐で解決できるわけですから「我慢」という万能の言霊を持ち出してしまうと、スーパーカブ110以外のあらかたのバイクがいらなくなる。

ことほど左様に、バイクというのはつくづく因果な乗り物。あちらを立てればこちらが立たず。だからバイクにいろんなものを求めていくと、どうしても複数台持ちになってしまうのですねぇ・・。

一台でなんでもまかなおうとすると全てが中庸のバランスにならざるを得ない。防風もソコソコ。パワーもソコソコ。乗り心地もソコソコ。運動性もソコソコ。だから賢い選択をするなら、すべてにおいてソコソコのバイクを選んでおくのも一つです。これは悪く言えば「中途半端」、よく言うと「万能性」というものとなる。

イメージ 3
(限定解除してから25年。いろんな経験をしてきましたが、未だにバイクとはなんぞ?ということがよくわからない。最近はそういう難しいことを考えることすら放棄してしまってます。)

私は市販バイクのウェルバランスの妥協点としてスズキのVストローム650MT-07、CB400SBあたりがいい線いってるんではないかと思ってます。短距離しか乗らないのならセローもいい。突き抜けた面はないですが、あらゆる局面で凄い乗りやすそう。作り手のバイクに対する深い経験を感じる。これらのバイクは初心者だけでなく、実際その点の見極めができてる玄人さんにも良く売れてるようですし・・。

でもそんな万能バイクが存在する一方で、バイク乗りは突き抜けたモノが欲しいという抑えきれない邪念、悪癖を持っている。私自身もなんだかんだ理屈ではわかっていながら、結局超重量バイクF6Bとハーレーがメインマシンですから・・。で取り回しに苦労しながら夏場「暑くて乗れねぇ~」なんて泣き言を吐いているわけですから、我ながらホント度しがたいですね。