今回は珍しく模型でもバイクでもなく私がブログを書くための道具を紹介いたします。私のブログの特徴は、とにかく「内容はくだらないのに文字がやたら多い」ことだと思います。

このブログも仕事で8000字くらいのテキストを打ち込み終えて、まだ飽き足らずにぐだぐだ深夜にテキスト入力しているんですね。「おめーのブログなげーよ。しかも下らぬ。読むに耐えん。耐えられぬ!!」と皆さん思われているかもしれない。しかし、クソ真面目なテキストを8000字も打った後に、カタいテキストが打てるわけがない。がっつり仕事をした後は、もう矢吹ジョーのように両手をぶらぶらさせながら変な笑い浮かべて彷徨う腐った死体。「なに?この人怖い!!変質者??」な状態なのです。

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(突如現れた得体の知れない四角い物体。これが今回紹介するテキスト廃人専用入力機ポメラDM200です。)

ちなみに私がテキスト入力に愛用しているのが、KINGJIMの「ポメラDM200」という文書入力専用機。私は歴代ポメラをこよなく愛しておりまして、ポメラを愛用する人々は「ポメラニアン」と呼ばれております。しかし、犬のポメラニアンのように可愛いなんてことはまったくなく、私も含め強烈に香ばしい。だってポメラ自体が実に香ばしいアイテムなんですから。

なぜ香ばしいのか??コイツはこのご時世に「テキスト入力しかできない」というとんでもない奴なのです。定価5万円もするのに文書編集機能すらない。多彩な特殊攻撃を行う怪獣たちの中にあって、「怪力だけでひたすら押していくレッドキング」のような存在です(いや筐体が黒一色なのでブラックキングか・・)。高性能高機能のガジェットが山ほどある中で、なぜにこんなものを買うのか?

まぁ、皆さんいろいろ理由をつけていますが、私に言わせればこのポメラ「文章を書くのが単純にメチャクチャ気持ちいい」んです。肉体的にだけではなく、精神的に気持ちいいんですね。文字しか打てない故に、文字を打つ気持ちよさが突き抜けているのです。

昭和かよ!と叫びたくなるような黒いプラスティック筐体にノンカラー白黒液晶。レンガのような縦横比。ネットもできないし、ゲームもできない。パソコンのデスクトップみたいに「萌えーな壁紙」を設定することもできない。電源ライトなどの「光りもの」もない。熱くもならず、冷却ファンもなくただひたすら無音。

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(大判サイズのコミックスとの比較。結構小さい。比較が何故中間管理録トネガワなのか?それは私が「焼き土下座強制機」からずっと利根川ファンだから。)

余計なものをすべてを取り去った結果、目の前に広がるのはまさに文字入力に特化した光景。それはナウシカを呆然とさせた腐海の地下空間のような静かで浄化された世界です。入力のサクサク感、打鍵感、ノンストレスのスクロールスピード。文字変換の正確さ。単語登録の簡便さ。涙が出るほど荘厳で甘さのかけらもないフォントの明朝体など、DM200は入力マシンとして文句をつけるところがありません。

文章作成をする間は自分が打鍵する音だけが雨音のように淡々と周囲に鳴り響く。私は設定で黒をバックに白文字を浮かび上がらせているので、そこにあるのはパソコンのフルカラー画面とは全く異なる怪しげな白と黒だけのエコエコアザラクな世界です。

バイクに乗っていると「このままどこまでも走って行きたい。」と思うことがたまにありますが、それと同じ。「このポメラで文字をただひたすら打ち続けていたい。」そう感じさせる。

「テキスト入力しかできないのに5万円??タブレットと外付けキーボード買っておつり来るじゃん!」という実に正しい意見もありますが、それはバイク乗りに「300万円払って鈍足ハーレー?バイクなんて雨の日乗れないし、エアコンもオーディオもないじゃん。車買っとけバカwww」というのと同じ。そんなことはポメラ使いは百も承知です。

今の時代、パソコンやタブレットは聖杯のような「すべてを叶える願望器」となり、何でもできてしまうが故に、文章を打っている途中に「あ、そういえばあれをしなきゃ、これもしなきゃ」といろんなことを考えてしまうし、メール着信やメッセンジャーなど余計な情報も入ってくる。究極のテキストマシンにそんなものはみな不要。テキストを打ちまくってる丑三つ時に「うぉおぉぉおおお、ノッてきたぁああぁ。こ、これは名作が生まれそうだぁぁあああ!!!」と天上への扉が開きかけたとき、ピコピコといらん着信お知らせ音が入って「あっ・・」っと一気に現実に還ってしまう。創作の神への足がかりが消えてしまう。そんなことになったら失ったものの大きさに柱に向かって「カァアアァアアァアア!!」と叫びながら藤原喜明式一本足頭突きを高速炸裂させることになる。

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(キーピッチが狭いとかストロークが浅いとかなんたらかんたら言う前に、まずは叩いてみなきゃはじまらない。高速入力が可能で、疲れ知らずで気持ちよければそれは良いキーボード。そしてこれはいいものだ~。byマ・クベ)

日本には古来より締め切り前の作家にお約束の「カンヅメ」という奴隷労働がありましたが、入力環境において雑念を除去できるポメラはまさに「カンヅメのお供に最適なマシン」といえます。締め切りを守らない罪深き作家には水とポメラのみを与え、薄暗い土蔵に監禁しとけば文字入力する以外もう何もできないのです。

しかも、このポメラは一度充電すれば18時間もバッテリーが持つ(カタログ値)。18時間ぶっ続けでのテキスト入力はもはや人の限界ではないでしょうか?精神と肉体の健康を考えると、土蔵での監禁もこれくらいにしとかないと生死に関わる。しかしそこまでしても遅々として原稿が上がらない無能な作家の場合、モバイルバッテリーからmicroUSB経由で充電できてしまうので、電源がない土蔵でも労働基準局が腰を抜かすくらいの連続労働を強いることが可能です。

減らないバッテリーを前にして、「ふふ、今日こそは死ぬまでお仕事してくださいねっ。」とコメカミに青筋を立て、殺気だった笑顔のメイドに監視されているような気すらしてくる。(当然メイドはバズーカ装備で腕章は鈎十字。)

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(見よ、このエコエコアザラクな画面表示。ここは戦場。遊びなどない。仕事以外はさせぬ。引かぬ。媚びぬ。顧みぬ。そして売れぬ。)

「何でもある環境」が当たり前になったが故に、この何もない環境が「極めて得がたい特殊なものである」と気づいた人が、「創作の神の召還器」としてわざわざ高値を払いポメラを購入しているんだろうと思います。そして多くの煩悩が除染された環境からしか生まれない真の集中力は創作において何ものにも代えがたい。

「そんな環境でしかものが書けないのは、おまえの心が弱いだけ」というツッコミには、脱兎のごとく西南西に逃げ去り、部屋の隅で布団をかぶって震えながらつぶやくようにこう言いたい。「心が弱いのはきっと私だけじゃないし・・。そんな人はこの世にきっと大勢いるし・・・。」

ちなみに私は歴代ポメラの中でこのDM200が最高であると思っています。いろんな方がDM200に対して「重い」とか、「電池式ではない」「起動が遅い」などと苦言を呈しておられます。そう、この新型は従来のポメラに比べて、携帯性を犠牲にしています。KINGJIMは「軽くて持ち運びが最高なポメラ万歳!!」というユーザーをある程度切り捨ててでも入力環境を底上げしてきた。その意気やよし!!

私にとってはこの「素晴らしきキーボード」「文字変換の正確さ」「スクロールスピードの気持ちよさ」「漆黒の荘厳な液晶画面」を前にして、多少の携帯性などどうでもいい。新たに加わった通信手段ですら私にとってはおまけに過ぎない(便利ですが・・)。そもそも私にとってポメラは「すべてから隔絶され、ただひたすらにテキストを打つためにある」のであり、それ以外の機能はすべてオマケです。

なおDM200にはこれまでの歴代ポメラシリーズにあったチープさや携帯のため折りたたみギミックなど小手先の器用さは一切ありません。しかし、それと引き替えにテキスト入力の本質的な部分である「変換効率と画面表示の美しさと入力の気持ちよさ」を盛ってある。

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(このくだらないブログも格調高い明朝体なら、なにやら神々しい論文のように見えてしまう。)

レッドキングはどんなに頑張っても破壊光線は出せません。脳筋なので頭脳戦もできない。必然怪力を磨くしかないのですが、それに特化してウルトラマンをボコりまくってこそのレッドキングなのです。(ボコられたあげく、ついにブチキレたウルトラマンに八つ裂き光輪でバラバラにされるのが怪力バカの滅びの美学。)そしてポメラはまさにレッドキング。ガチのテキスト入力マシンです。テキスト入力機能に特化しなければ存在価値がないのです。

ブログなどでテキストをたくさん書くという人はだまされたと思ってDM200を試してみてください。その「テキスト打ち以外に何らの取り柄もない」という存在の凄まじさに、虜になるか「ちょっ・・バカwww」と笑い出すかのどちらかになるはずです。そしてこの神々しい存在の虜になる人は完全なテキスト変態。今このポメラが壊れたら私は借金してでも新しいDM200を購入するでしょう。それほどこの何もない入力環境は病みつきになる。この紹介文の長さとしつこさから、いかに私がポメラを愛しているかが皆さんに十分伝わっているのではないでしょうか?

ただ商売においては「変態にウケるものは数が出ない」という真理があり、DM200の価格からして「変態しか寄りつかない」と思われますので、販売上は大苦戦しているかもしれません。

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(ブラックの本体から強烈に香る頼もしさ。このポメラは決してテキスト入力の速度を上げるわけではありません。パソコンではネットサーフィンの誘惑に負けて60分のうち、テキストを打っている時間は所詮30分。しかしこのポメラなら60分全てがテキスト入力時間に変わる。誘惑さえなければ仕事速い速い。そんな自分は凄いのかダメなのか?)

今回は私が愛用する麻薬のような入力機、ポメラDM200の極めて私的なインプレッションをトータル3798文字(本文)でお送りさせていただきました。(入力文字数も一発表示。こんな些細なことが、テキスト中毒患者には快感なのです。)