前回はアル・アジフの顔の下書きでしたので、今回はアナザーブラッドの顔描きです。

イメージ 1
(アナザーブラッド下書き。このフィギュア、珍しく眉がいい場所に入ってる。)

アナザーブラッドはネクロノミコンの血液言語版です。簡単に言うと、アル・アジフの娼婦版みたいなもんです。ジーキル博士とハイド氏のハイドのような感じでしょうか。生意気ではあるが基本チョロいアルに比べて、邪悪でエロいです。はっきり言って変態です。

イメージ 2
(右側面から)

こいつのエロい語り口だけで機神飛翔デモンベインは15歳以上推奨のレイティングになってしまっています。ひでぇ奴です。まぁ流し目でひっくり返っているところだけ見ても、まともな性格出ないのは明らかですかねぇ。

キットに目を移しますと、このアナザーブラッドの造形は非常に良くできていて、表情、目、眉のモールドは私のイメージにほぼ一致しており、下書きも非常にスムーズだった記憶があります。これはVispo片桐様レベルの造形力ではないか?と思っちゃうほど。

イメージ 3
(左側面から)

私自身は眉のモールドがあるフィギュアは結構苦手というか、自分の思うところに眉のモールドがドンピシャできてることはほとんどないので、眉モールドはいらない主義なんです。しかし、このアナザーブラッドは素晴らしいとこに眉のモールドがきていました。そんなわけでアル・アジフの眉モールドはごっそり削りましたが、アナザーブラッドの眉はモールドに忠実に下書きしてます。

イメージ 4
(髪をつけてバランスを見ます。眉が髪の間のいいところから見えてますね。)

モールドが素晴らしいとフィギュアは誰が作っても安定した顔になってきます。「似せて作ってるんだから似てるのは当たり前だろ?」って言う意見もあるでしょうし、そりゃその通りなんですが、同じように似せていってもその振れ幅が違う

今回のフィギュアも結構な製作困難作品ですので、ネット上での作例は極めて少ないわけですが、少ない中で見ていきますとアル・アジフは人によってそれなりに顔が違うのに、アナザーブラッドは割と似た顔になっているんですよね。

これは、このキットのアナザーブラッドの造形力、顔のモールドが素晴らしいからだと思います。「いや振れ幅こそが個性なんであって、似た顔ばかりじゃつまらない。」という猛者もいるでしょうが、ガレキフィギュアも模型である以上「造りやすいというのが正義」です。なんせ価格が高いんですから、大惨事になる要素はできるだけ少ない方がいいに決まってます。

イメージ 5
(逆さに組み上げられるわけですから、逆さにしたときに顔がどう見えるかも要チェック。正位置で魅力的でも逆さにしたらイマイチみたいなことはないとは言えない。)

レジンキットはその点、市販のプラモデルに比べて製作の容易さで大きく劣るわけですが、造形やモールドが親切で適切だと、どんどん造りやすく、完成品の精度が上がってくるわけです。この造りやすさというのは非常に大事な要素です。木製帆船模型のように「木ぎれから図面だけで造れやゴラァ!」という噴飯ものの不親切キットはやがて時代と共に廃れていくのは必定。事実木製帆船模型は日本では完全にオワコンになってしまいました。

だって、このクソ忙しいご時世ではパッと造ってパッと楽しむのが主流です。私の趣味のバイクだって「パッとまたがって、さあレジャー。」なのがいいのです。それなのに製作期間3年とか、造っているうちに子供が小学6年から高校受験になってしまう。

イメージ 6
(当時の苦悩が見え隠れする全体仮組み図。子供が作ったおにぎりに張り付いた海苔を彷彿とさせるスカート部分の「ヒドい」マスキングをご覧ください。本来お見せできるようなものではありませんが、私の素人模型レベルをおわかり頂くためにアップします。)

そんなセコイアの樹齢のような悠久ともいえる製作工程と鬼難易度のものには、変態マゾヒストしか近づかなくなる。

そんな中、ガレージキットもどんどん製作人口が減っている。私も忙しいので以前に比べると製作ペースは5分の1くらいになってます。だから購入するペースも当然5分の1。こりゃ売れん。その流れを止めるにはやっぱり「造りやすくて造形の素晴らしいもの」をしっかり出していくというのが大事なんではないかと思うのです。
製作難度の高いものは確かに一部の人にしか造れずマニア受けします。しかし、マニアにウケても販売数は減ってくだけです。

イメージ 7
(このスカート一応芯棒入れて固定してるんです。この組立の過程でSAN値が減少し、不定の狂気に陥ったような記憶があります。)

マニアが造ればそれなりに歯ごたえがあり、初心者でも頑張れば完成させることができる。そして造形は市販の完成品フィギュアではとても再現できないようなガレージキットを造ることができれば、この業界も続いていくんだと思います。

というわけで話が横道にそれましたが、アナザーブラッドの顔の下書き及び「これはヒドい」的な仮組みが完成いたしました。

次回は顔の塗装です。