ガレージキットの製作記といっても、ガレージキットの製作作業は大体お決まりで、パーツ洗浄→仮組→下地処理→サーフェイサー吹き→再度下地処理→塗装(顔描き)→本組→完成or大失敗。という流れになっております。

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(えらい簡単な組み立て説明図。こんなのでも付いているだけマシ。パーツチェックのためのパーツ一覧画像と完成写真しかないガレキが通常。ワンフェス鉄火場進行で連絡先の紙一枚というものも・・)

これ以外のアクロバティックな作り方はなかなかできないので、製作の過程としては予定調和の製作記とならざるを得ない。

数を作ってくると自分のやり方というものがほぼ確立しておりますし、「新しい技法を開拓したい」というこだわりが限りなく薄いのも予定調和の原因。私は極めて平均的多作型モデラーであり、「ドヤァ!!」と胸を張れるような技術はありません。

とにかく何かもの作ったり、バイクに乗ったりしているときは「仕事のことを忘れて無心でいられる」ので、精神安定剤的に、ガシガシ作ってるところがあります。まぁいわゆるストレス解消なわけです。

「フィギュアの女の子を塗ってストレス解消になるんかい!!」と言われると、何かを一心不乱に作っていれば対象は「多分なんでもいい」のだと思います。ただ、顔を描くのが楽しくてフィギュアから離れられない。

一心不乱に作っていると、製作の途中写真を撮らないまま完成ということも多く、これじゃ製作記は書けない・・。という完成品もあります。今回のマドカ・ファランクスモードは製作も相当前なので写真も少なく、思い出しながらというか、ほとんど「記憶という言い訳を借りた、ほぼねつ造の製作記になっていくのであろう」というのが正直なところです。

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(スケールが1/8なのか1/6なのかどっちやねん!(笑)しかし、このおおらかな味わいがガレージキット。)

ガレージキットは派手で可愛い女の子が多く、完成品はとても目立つわけですが、それとは裏腹に実際の製作は地味で内職的作業の繰り返し。「今日は大便しながらパーティングラインを消してみるか」とか、「風呂で命の洗濯をしながらヤスリがけを・・。」などという気晴らしもなく、製作記も地味にならざるを得ない。

「おおっそういえば、このマドカを作った時は確かパーツ洗浄に「タフデント」ではなく「ポリデント」を使っていました!!」とか、ほぼ、どうでもいい違いを報告するくらいしかないのです。

ガレキも下火になったこの時代に地味な内職作業過程を延々と紹介していてもしょうがないので、今回は「ガレージキットの品質」について少し語ってみましょう。

古来よりガレージキットのクオリティは販売元によって大きく差がありまして、ボークスのような大手メーカーのキャストはクオリティが高く抜きも良いので、気泡や欠け、割れがあまりなく非常に処理がしやすいわけですが、販売元によってはパーツチェックをしているときに

「こ、これは・・至近距離から散弾銃の直撃を浴びちゃたの!?」

というくらい欠けと気泡だらけで、見た瞬間おもわず

「王大人(ワンターレン)お願いします!!」
「うむ・・・死亡確認。」


となってしまう残念なキットもあります。

そういうフィギュアは「いつかチャレンジしよう、またいつかね・・」と、そのままそっとしまい込むか、泣きながらシアノンで穴を埋め、蘇生しに行くか、対処は二つに一つしかない。

「気泡なんてそんな大きなものじゃないんだから、表面少し削って穴消したらいいんちゃう?」

いやいや、そんな甘いもんじゃないんですよ。削れば確かに今見える気泡は消えます。しかし、表面に気泡が出ているようなフィギュアは「レジンの内部も気泡だらけ」ですから、削れば削るほど気泡が出てきちゃうんです。削りすぎるとエッジやフィギュアのラインがダレちゃうおそれもあるし、そもそも削ること自体タイヘン。

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(パーツ一式。パーツ数は少ないですが、組み上げるのは一苦労。)

では気泡はどうするの?といいますと、ただひたすら埋めるしかない。

シアノンで気泡埋める。シアノン固まるまで、ほげーっと待つ。少し削る。新たな気泡が忽然と現れる。シアノンで埋める。ほげーっと待つ。また削る。また気泡が・・

とまるでエヴァの「目標をセンターに入れてスイッチ」レベルの気持ちの入らない作業の繰り返し。旅順攻略の激戦地帯「二百三高地」を彷彿とさせる「屍が山と積み上がってるのに全く前に進まん」という絶望的気分を味わうことになる。

この点、ボークスや有名ガレキディーラーのものはほぼ気泡がないので、「ああ、うれしや、うれしや。」と製作していけるわけですね。

また、ボークスは、パーツをなくしたり破壊したりしても、本社にメールしてお金さえ払えばパーツ作ってくれます。かなり古いキットでも元原型さえ劣化してなければまた型抜きして作ってくれるので本当に助かります。(金かかるけど・・)これが中小ディーラーだとパーツをなくしたり、ダメにしてもストックがない。必然的にパーツの欠損は自作しかありません。

このパーツを作ってくれるというのはガレージキットを製作する上で、大きな精神の安定感につながるのです。ボークス万歳!!

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(ホワイトボディで十分魅力的。ホント、こういう才能のある原型師さんってうらやましい。)

余談が長くなりましたが、顔の下書きをし、軸打ちをして仮組みしてみました。せっかくですのでしばらくこのホワイトボディを楽しみましょう。味がありますよ。その後、熱湯で煮沸し合わせ目のクリアランスをパーツ同士を押しつけて詰めてから、塗装に入っていきます。ここまでが気分的には第1製作過程になります。

第2製作過程はまた次回に。