もう先週のことになりますが、ワンフェス2017冬が終わりましたねぇ。今回も素晴らしいガレキフィギュアが一杯販売されてていい目の保養でしたね。

(ちなみにこのブログにはパート2があります。それがこちら→「ワンフェス転売屋問題に関する一考察(長文) その2」)

ワンフェスやトレフェスではガレキの大手ディーラーでも販売分の持ち込みは40~50程度ですから、造形抜群の目玉ガレージキットは「開始10分で完売」とか、突撃して抽選券をゲットした上で、かなりの倍率の抽選に参加し「泣くも笑うも運次第」ということになることが多い。(普通はそこで「ああ、神様!女神様!!」などと皆手を組んで祈るんでしょうが、私は「クトルフ信者」で邪神崇拝のため祈る言葉もないわけです。)

とにかく、こんな状況ですから購入できるのは一握りの「選ばれし者」だけであり、ほとんどの一般人が「ハズレを引く」ということになる。

そこで毎度出てくるのが「転売屋問題」です。今回もツイッターからはヤフオクに流されてしまった自作品についてガレキディーラーさんの嘆き節が聞こえています。転売業者というのはあらゆる手練手管でわずかしかないレアキットをさらっていき、ヤフオク等のオークションで販売して利益を得る方々です。(個人なのか組織的なのかはよくわかりませんけれども。)

転売業者は自分でキットを作るわけではなくレアキットを我々モデラーに高値で売ることを目的としています。転売業者が購入してしまいますと、当日会場へ赴いた購入希望者がそのぶん割を食うわけで当然のことながら怨嗟の声が巻き起こります。

しかし、この転売屋問題、10年以上も同じことを議論してますが、結局はどうしようもないわけです。何故どうしようもないか今から簡単に説明いたします。

転売屋問題の最も根源的な解決方法は「転売業者の存在そのものを抹消する」ことであるのは言うまでもありません。しかし、これはどだい無理。現場で競争倍率が高かったレアキットをヤフオクに出せば高値売り抜けはほぼ確定。しかもそこには明確な法的ペナルティはない。「利益があってペナルティがない」以上転売行為がなくなるはずもないのです。

イメージ 1(今回も壮絶な争奪戦となった艦これ版権もの。とにかく一回こっきりの販売なので、レア度は確定、転売業者のいい飯のタネになります。)

「転売禁止!!」などといくら書いていても、そもそも財物の換価(←金に換えること)に縛りをもうけること自体無理があるわけで、例えば「借金が返せなくなって保管してあったガレージキットを売りに出す」のは債務返済のための「正当な換価行為」であり、これを制限することなんてできない。極限状態になれば「借金返せないなら金目のものは売れ!丸裸になれや!!ゴルァァアアア!!!」と裁判所や銀行や世間の声が命令するわけですから、ワンフェスなどで購入したキットも含め「財産価値のある中古品の売却行為自体」「全て悪しき行為である」と第三者が認定できるわけがない。

「いやそういう売却はしょうがないからいいんだけど、転売行為を規制して欲しいんだって!」まぁ、ほとんどの方はそんなご意見でしょう。しかし「正当な換価と転売行為」の区別がすでに難しい。転売行為が行われたとしてもガレージキットの価格と数量程度じゃそれを差し止めする経済的利益もないし、転売業者も金を出して買っている以上、ディーラーに損害はなく、結果的に生じたことといえば「我々モデラーや愛好家が購入できなかったということ」だけでそんな観念的なものについては損害認定などできんので、もうどうにもならないわけです。

転売業者を駆逐できないなら次は「転売業者にキットが渡るのを阻止する」という論点になりますが、これも無理です。だって「転売屋と一般人の区別がディーラー側につくはずがない」からです。「何で数少ないのに転売屋なんかに売るんだよぉおお!!」と我々モデラーがディーラーに文句言ったって、ディーラー側を困らせるだけで筋違い。

だって彼らは販売のプロではない。我々モデラーのために徹夜もいとわず素敵な造形を作り、それを膨大な手間をかけて型どりして我々にお裾分けしてくれる良心と情熱と才能あふれる人たちにすぎず、転売業者に対抗するすべをもってるわけではない。海千山千の転売業者には彼らは所詮「自分を儲けさせてくれる、あわれな羊の群れ」でしかないわけです。

最後に二次流通のオークション側で転売商品をはじけるか?というと、これこそぜんぜん無理でしょう。「中国の違法コピー品ガレキ」が多数販売されてる無法地帯で転売品といえど正規版権を得た中古品の出品規制などあるわけがない。

結局「転売屋問題」「転売業者が発生しないようにする」「転売業者の手に渡らないような販売方法を考える」「オークション等で転売できなくする」これらのどこかで解決すべき問題なのですが、我々モデラーはそのいずれにも関与できない「解決の手立てを持たない傍観者」なのです。

・・・・・では我々モデラーはどうしたらいいのか?・・・・・

どうにもなりません。今の枠組みの中で戦うしかない。要は朝から並び着順で勝負し、抽選券では運の勝負を仕掛け、そこで転売業者に破れれば彼らが流したオークションで身銭を切って青天井の戦いをする。それ以外ないのです。着順と運の勝負に敗れてなお、それでもどうしても欲しいものなら、必死に稼ぎ節約した金をつぎ込んで「最後の勝負」にいくしかない。

イメージ 2
(原型師あかちょむさんのツイッターから転載させていただいてます、プリンツ&ビスマルク完成写真。どんなフィギュアなのかお伝えしようにも、なんせキットの中には完成写真も組立説明図もパーツリストもなにもないという恐ろしさ。パーツ確認はツイッターで後日行うという倒れ込み。ワンフェス直前の鉄火場のような状況が想像されます。心よりお疲れ様と言いたい。)

「そんなの理不尽だ!!」と叫んでみてもしょうがない。「そんな理不尽はこの世の中に山ほどある。」正直このような目に見える理不尽は本当の理不尽ではありません。この世にはびこる理不尽はもっと甘くない。そんな理不尽を嘆くより、その理不尽を乗り越える努力をすることが解決へ至る唯一の道なのです。自分の力で理不尽をなくせない以上、そこから先はその世界で生き抜く自分自身の問題に変わる。

「たとえどんなに……不運……不幸……不ヅキに見舞われようと……オレは決して諦めない……!捻じ伏せる……!最悪の運命……境遇……ありとあらゆる障害……不平……不正……すべてを捻じ伏せ……オレは勝つ……!」

悲しいことですが、ことガレージキット販売のような流通として未発達なところでは、結局はカイジが沼に対して吐いたこの言葉に全てが帰結していくんです。

長い長い旅路の末会場にたどり着いても、販売量が極めて少なく、一日版権で購入機会も制限されるため、狙ったキットを購入できる可能性は極めて低い。転売業者がかっさらっていった分はヤフオクで超高額出品されケツの毛まで根こそぎスリムシリ取られる。それを乗り越え手に入れても、パーツの欠品、割れ、欠けという障害に見舞われる。製作には気の遠くなるような根気を要求され、顔の表情描きや最後の本組みで失敗すればリカバリー不能で大発狂の地獄絵図。一体どこまで馬鹿馬鹿しいシロモノなのか?

しかしそれでも一部のモデラーはガレージキットに惹かれる。金さえ払えば一般に市販されている見事な塗装済完成品が届くこの時代に、「市販品には決してない何か」を求めガレージキットに挑むのです。

ガレージキットは最後の完成まで辿り着くには多くの理不尽と戦い、他人と戦い、己と戦うことが必要です。苦労して手に入れ、さらに苦労を重ねて細部まで下地処理して製作するから、細かな部分の造形師の気遣いや苦労もわかるし、塗装や表情には自分の人格や好みが投影され、自分にとってかけがえのないものになる。素人手抜き模型製作の自分ですらそうなんですから、ガレージキット専属のモデラーにとってはそれ以上の達成感があることでしょう。

私にとってガレージキットは「理不尽に満ち、なお素晴らしく、限りなく濃い造形物」であり、その中で暴利をむさぼる転売屋も既に「その理不尽なるガレキ世界の一部分」と、そんな風に割り切っているわけです。

イメージ 3
(ガレージキットの当日人気は造形の善し悪しもさることながら、フィニッシャーさんの仕上げによるところも大きい。ご覧ください。このプロ根性炸裂の美しすぎる塗り。私とは雲泥の差!!これなら人気のほども理解できる。皆様目の保養にしてください。)

そうはいっても私は転売行為否定派です。他人のやることに文句はつけたくないけど、もうちょっと当事者に感謝されるようなことで利益出したらどう?とは思う。まぁ商売人として相容れないですね。