最近北陸ではとても寒い日が続いています。日中気温が晴れた日で大体6℃~10℃くらいで路肩にはまだ雪が残っている。休日に軽く流していてもバイクは数えるほどしか走っていません。そりゃ当然といえば当然で、この気温だとバイクで走るとほぼ体感は氷点下。カウルのないネイキッドではもはや荒行と変わりません。

メインがハーレーだけだった頃は、冬でもとにかくバイクに乗りたいんだけど、寒さに「正面から立ち向かう」ということはまったくできず、電熱ジャケットに電熱グローブ、電熱パンツという、「電人ザボーガー」なフル装備で走っておりました。

「ななな・・なんという軟弱な!!やめい!やめい!!そんな堕落した姿でバイクに乗るのは!!バイクとは大自然との闘い!!己との戦いなのだぞォォオオオオ!!」

そうツッコむ方もいるでしょう。いやお恥ずかしい。かくいう私も若い頃なら今の自分の姿を到底許すことはできなかったと思います。しかし、ララァの「人は変わっていくわ」という名言どおり、私は変わり果て、きっちりと堕落した。自宅でも妻と二人、暖かなコタツから出られず、コタツごとズルズルと移動していく「こたつむり」という軟体生命体と化しています。そう、歳を食うと熱効率が落ちてきて「寒さに弱くなる」のです。

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(文章だけでは味気ないので、スケールキットを。2代目V-maxとスカーレットヨハンソン。1/6です。後ろに移ってるのはグロム君)

しかもハーレーは人体の「寒さに弱い部分」に強烈に風が当たります。特に「太もも内側への凶悪な冷気攻撃」はウルトラセブンでも耐えられないレベル。ここが冷えると体の芯まで冷えあがる。エイプハンガーであれば脇の下という「人体第2の弱点」まで剥き出し。エイプで腕をカチ上げつつ脇の下を冷気にさらして冬場走っている人を見ると「私の理解の及ばない生き物」を見た気分になります。(ごめんなさい)

私はそんな寒さに到底耐えられないので、恥も外聞もなく電熱インナー上下一式を着込み、「オホォォオオオオオオ!!ヌクヌク!これぞ文明の叡智デスヨォォオオオオオオオ!!!そうですねジョドォォォ!!」とどっかの伯爵のように笑いながら、冬場のツーリングを楽しむのが常態になっておりました。

しかし、あるときこんな軟弱な私に強烈な神の鉄槌が下ります。おごれる平家久しからず。そう出先でなんとなんとなんとなんと「電熱ジャケットが故障」したのです。もうどうやっても電源が入らない。叩いても引っ張っても、伸ばしても、拝んでもダメ。

電熱ジャケット着ている人はわかると思いますが、電熱ジャケットは私のように単に寒さに弱い人だけでなく「冬場でも着ぶくれしたくない。スタイリッシュにバイクに乗りたい」という人にもウケています。そう、電熱ジャケットはメチャメチャ暖かいので冬場でも「薄着ができる」のです。革ジャンの下に電熱ジャケット一枚という夏場とそうかわらない着こなしが可能なのです。可能だからそんな着こなしをしちゃうわけです!!


・・・それ故、遙か彼方のツーリング先で電熱ジャケットが故障したら・・・・・・
・・・・・・・・・生命維持装置が切れたのとかわらない・・・・・・・・・


そこからはまさに地獄絵図。なんせ上には革ジャンしか着ていない。故障した電熱ジャケットはただの薄手のナイロンインナーにすぎない。そして風を受けて冷え切った革ジャンはただの「冷えピタ」だ!!!!

「おお!神よ!!この震えはハーレーのVツインの鼓動なのでしょうか??寒さで我が身が尋常でないくらい震えているのでしょうか??」

帰路は30分ごとにバイクを止めてエンジンの熱でわずかな暖をとり、「もう無理もう無理もう無理もう無理」と連呼しつつ、かといってどうしようもないので、震えが止まるのを待ってまた走り出す。の繰り返し。

いつもより生き生きして調子のいいハーレーと、今まさに凍死せんとしている我が身のコントラストが実に理不尽

     「これは涙・・泣いているのは私・・・」

いつかの綾波の台詞が頭を巡る。これこそバイク版失楽園。アポロ21をも凌駕する苛烈な生命帰還の物語。NHKオンデマンドで配信できるほどの「ノンフィクション・ヒューマンドラマ」です。

日が沈み夜のとばりが降りる頃、生命の危機に体内のバオー因子が活動を開始し、私は完全に思考力を失ってただ「バルバルバルバル」と顔を震わせながら走り続ける一匹の獣と化していったのです。

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(メディコムトイのフィギュアのクリソツぶりは異常ですねぇ。日本は見立ての文化ですが、米国はリアリズム追求型。これはこれで見事です。)

命からがら自宅車庫に帰り、試しに電熱つないだら普通にスイッチはいって、「ふぉぉおおぉぉおおおおおっぉっぉおおおおおお!!!」と初号機か変態仮面のような声にならない叫びを上げるのは予定調和のお約束。これ以降私は電熱ジャケットで遠出するのはやめました。それくらいの精神的、肉体的後遺症が残ったわけです。今でも思い出すと指が震えてきます・・。

みなさんもこのような悲劇に見舞われないよう、電熱ジャケットで遠出するときはホッカイロと予備の冬装備を持参することをお勧めいたします。

人の不幸は蜜の味。今回は心温まる冬の物語をお送りいたしました。