現在の愛車ゴールドウィングF6Bのインプレッションです。

イメージ 1

前回おおざっぱなインプレを書いているので「またかよ。」とお思いになる方もいらっしゃると思いますが、アクセス見ると私のブログに「F6B インプレ」で検索して入ってくる方がかなりいらっしゃるんです。

ハーレーだとインプレが「銀河の星の数」ほどあるので埋没してしまうんでしょうが、ゴールドウィングで、しかも決してお買い得とは言えないF6Bは所有者少ないし情報もないんでしょうね。初期モデルはバックギアもないですし・・。

今回は数少ないGL系インプレとして、このバイクの水平対抗6気筒エンジン「SC47E」について個人的な感想を書いていこうと思います。インプレには私のバイクに対する考え方が色濃く入ってしまうので、ちょっと雑誌等の性能評価型インプレとは毛色が違ってて皆様の参考になるかわかりませんが、個人ブログなので、その点はご容赦ください。

SC47Eは素晴らしいフィーリングを持ったエンジンなんですが、そうなった理由ははっきりしてると思います。それは「横幅といい重量といい、このゴールドウィング以外には搭載不可能」だからです。つまりGLのキャラクターに特化して最適設計され調教されたエンジンなんですね。

エンジン概要は下記のとおり

形式 SC47E 
エンジン型式 水冷4ストロークOHC水平対向6気筒
総排気量 1832㎤ 
ボア×ストローク 74.0×71.0㎜
圧縮比  9.8 
最高出力 109馬力 
最大トルク 16.4㎏f.m/4000rpm

イメージ 2

このエンジン、排気量1832CCもあるのにカタログ値109馬力しかありません。ボア×ストロークがほぼスクエアですが、ホンダの技術なら9000回転回して200馬力くらいは簡単に出せるでしょう。しかし6千回転でスパンと点火カット。乗った感じまだまだナンボでも回りそうですが、高回転を完全に切り捨ててます。

高回転高出力のエンジンを作ろうとすると、吸いを良くしてヌケを良くしてカムをハイリフトにしてオーバーラップ角をとって・・となるんですが、これでは低回転域で空気がシリンダーから抜けていくので、低速域で扱いづらく頼りないバイクになってしまいます。「この世に完璧なバイクはない」というのは私の持論ですが、全ての回転域で「最高なエンジン」もこの世にありません。だって吸い込むエアの流速がどんどん変化するんですから。だからカタログ上の馬力とエンジンの構成みればどんなエンジン特性か大体は想像がついてきます。高回転でパワーを絞り出せば絞り出すほど、そのツケが低回転に及ぶのはもうどうしようもないんですね。

でこのSC47Eはといいますと、「高回転高出力のホンダ」「得意の高回転域を切り捨てた」わけですから、逆に言うとそれに見合うような「トキメキの中低速」が約束されているはずなんです。しかも排気量は1832ccもある。トルクはコンパクトスポーツの代名詞スイフトスポーツとほぼ同じ。一体どんなエンジン特性なんだろう??カタログだけ見ても想像が膨らむ、ワクワクするようなエンジンではありませんか?

乗ってみると体感的にそこまで強烈なパワーは感じません、いやパワーは出てるんですがパワーの出方が丁寧すぎてそれを感じない。とにかく全回転域においてパワーデリバリーの調教度が比類ない。「パワーが凄い」というのではなく、「パワーデリバリーの調教度が凄い」というのがミソ。ありとあらゆるアクセル操作に対して従順でゆとりのトルク&パワーを、こちらの意図に逆らうことなく、また粗暴になることなく津波のごとくデリバリーしてきます。エンストはどうやってすればいいの?と考え込むほど低速域も粘りに粘る。1速の低速限界はダラダラと歩く歩行者と並んで進めるくらいで、その速度域でもノッキングなしのド安定です。

イメージ 3
(このエンジンの頼れる優しさ従順さは、まさにホンダメイド)

通常バイクに乗っていると、ドンつきがあったりパワーの立ち上がりが唐突だったり二次曲線的だったり、開けても思ったより前に出なくて、もう少し追加で開けたり、また開けすぎて戻したりと、「ああ、俺は今機械を自分の意思で制御してる。」と感じる場面があるのですが、このエンジンはあらゆる反応が自然で、「おおっ」というような過剰な演出がありません。必要な時に必要なだけ、こっちの意思が通じているかのように分厚いパワーを優しく出してくれる。

6気筒の滑らかさと、1832ccの排気量からくるトルクの余裕、そしてホンダの鬼調教が相まって生み出される自然極まりない出力特性は、もうメカというより生命体。最初のブログでも「ハクの背中に乗っている千尋の気分」と表現しましたが、右手で意志疎通できる巨大な生き物の背中に乗って疾走しているような気分になるんですねぇ。メカも人の感性に沿うように調教が進めば生命体に近くなる。「初音ミクの調教が完璧すぎて機械っぽさが消え去り人間の声に聞こえちゃう感じ」というとわかり易いのかも。

高回転でパワーをカリカリに追求すれば、カムの形状はパワー重視に固定され、味付けや調教の幅はどんどん狭くなる。でも大排気量エンジンで大事なのはそのバイクのキャラクターや乗る人の感性に合わせた「調教」ではないかと思うわけです。

SC47Eでホンダはそれを実現するため、8000くらい回りそうなエンジンを6000回転で殺しちゃって、その分を鬼調教のための自由度に振り分けたわけです。しかもその調教の方向は「味付け」ではなく「ナチュラルオーガニック」

2スト時代に下をスカスカにし、ピーキーな出力特性を乗り手に押しつけてまでパワー競争に明け暮れていた頃とは真逆の発想。パワーを求めない時代にパワーに変わるべきものは何か?という問いかけへの答えがこのエンジンにはあるように思います。

イメージ 4

一部のバイクは未だに最高速や高回転域にこだわってますが、それに見合った乗り方、楽しみ方ができるライダーはごく一部。常識的ライダーはリッターバイクでの全開走行なんて公道ではできないし、するべきではないのですから高回転高出力方向に振られてもフラストレーションがたまることの方が多い。

まるで「ロト装備一式を揃えたのに、スライムがいるエリアから出られないような」苦しみ

そんなどうしようもない過剰感、焦燥感、閉塞感を味わうことになってしまいます。

昔乗ってたCBR900RRは、フレームガッチガチ、エンジンキレキレで「飛ばせば無敵メカ」だったんですが、公道60キロでは速度感が全然なく完全な徐行状態。正直退屈で第三京浜や箱根、奥多摩以外では(大学卒業後しばらくは東京におりました。)相当なストレスを強いられました。

多くの方がそんなバイクに乗ってきて、エンジンの真の実力は「パワーじゃない」という考え方の人が増えてきたから、決して速くない、ヘロヘロシャーシのハーレーが売れてるんじゃないでしょうか?ハーレーも日本向けの去勢仕様をインジェクション設定イジってアメリカ仕様に戻せば、扱いやすく感性を刺激する生命感あふれるエンジンになる。

ハーレーのビックツインとGL系のSC47Eは2気筒と6気筒で味わい全然違うけど「高回転高出力を切り捨て、人の扱える速度域で人の感性にあわせた調教を重視した」という意味で自分の中では同じカテゴリのエンジンなんですね。

ということで、ここまでGLのエンジンについて長々と自分の私見を書き散らしてしまいましたが、この偏見に満ちたインプレッションが少しでも皆様の参考になれば幸いです。