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前回から延々続く、ガレージキット作りに最低限必要であると思われるキーアイテムを紹介する駄ブログ。今回は下地処理編です。

①下地処理過程で必要なもの→Mr.SSP


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別名「瞬間接着パテ MJ200」。変わった名前ですが、勝新太郎のパンツから出てきたような白い粉(ネタが古い)に専用液を入れて混ぜると強力に固まる「ねるねるね」のようなものです。昔アルテコから「SSP-HG 瞬間接着パテ」として発売されていたのと同じもの。1分ほどでコッチンコッチンになり、タミヤパテと違って硬化後の痩せもないので、キャストの気泡埋めに絶大な威力を発揮。強力な接着力もあり、埋めたところからポロリと剥がれることもない。パテと瞬間接着剤のいいとこ取りをしたような商品。他にもタミヤパテやエポキシパテがあるといいのですが、それはおそらくモデラーの方々なら既に所有しているのではないか?と思いますので、あえて取り上げませんでした。

ワンフェスなどで販売されている個人製作のキャストモデルは気泡との戦い。最近は「気泡まみれ」のものに出会うことはあまりありませんが、それでも気泡が一つもないようなものはまずありません。

昔はタミヤのホワイトパテで気泡を地道に埋めていましたが、ホワイトパテは固まるまでに気の遠くなるような時間がかかってました。SSPは瞬時に固まるので作業が速い速い。固まってしまえばキャストと同レベルの強度があり、短時間で実用強度に達するので、ガッチリとした接合が必要な部分の接着剤としても使用してます。但し、透明ではなく紫色で、はみ出てしまうと塗装を豪快に落としてしまいますので、使いどころに細心の注意が必要です。価格は1900円くらい。結構量も入ってます。一般の瞬間接着剤でも大きなサイズは800円くらいしますので、価格なりの価値は十分すぎるほど。

箱絵が「可愛いおねぇちゃん」なのに性能はマッチョなガチ仕様。サフレス塗装をされる方は専用液の変わりにアルテコという白い接着剤を混ぜ、「白いSSPを作って気泡を埋め」ておられますが、私はガッツリサフ吹く派」なのと、白いSSPは使用感が今ひとつなので使ってません。

それ以外にはタミヤのホワイトパテと、エポキシパテを必要に応じて使ってます。気泡埋めは用途に合ったものを総動員して対処していきましょう。


下地処理に必要なもの②→スポンジヤスリ及び紙ヤスリ並びに棒ヤスリ

下地処理作業のうちバリ取り&表面仕上げ用です。バリ取りや段差消しはプラモデルでもよくある作業なのでモデラーなら誰でも馴染みはあると思います。ここで使用するのが各種ヤスリ。とにかく根気よくバリ、段差を消さなくてはなりません。

シコシコ削るだけという内職を彷彿とさせる地味で単調な作業に嫌気がさして「これくらいいいやっ」と適当に塗装に入ってしまうと、塗装後に消しきれなかった段差やバリが目立ってしまい、太ももに妊娠線のような跡がある」という悲しいフィギュアの出来上がりとなります。服の部分は心折れて妥協しても、フィギュアを見る男達のエロ目線が集中する肌部分に関してはもう「フェチになるくらいの変態度」で妥協なく処理していく必要があります。

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(左下にくるくる巻いてあるのが誘惑の80番。ピンバイスについてるのは針状の極細ヤスリ。モールドの彫り直しや細い部分のバリ取りにも重宝。)

私は紙やすりは「切れてるヤスリ」の320番、600番を多用。この2つがないと生きていけません。スポンジヤスリは320番、1000番、1500番あたりをよく使ってますがどの番手を使うのかは好き好きでしょう。要は綺麗にバリと段差が消えれば良いのです。ただあまり番手の低いモノを使って「削れる削れる削れるわ~」などと喜んでいると、パーティングラインは消えたはいいが深刻なヤスリ跡が残ってしまい、今度はその「ヤスリ跡を消すのにそれ以上の手間をかける」という、素人丸出しの惨状になりますので。80番などを使って一気に削るのは止めておきましょう。

脱線

話は脱線しますが、皆さん私がこれまで書いてきたことは、私が既に「克服済みで、もうそんなミスはしないのだ。」なんて思ってはいませんか?それは違う。わかっていても楽に流れて「同じようなミスを繰り返す」のが人という生き物。パーティングラインの段差がヒドイ場合、番手の高いやつでシコシコやってても埒があかない。

「ゴリゴリ削れる80番で一気にカタをつけたい」という誘惑は抗いがたいものがあります。ハンドリューターを使って一気に削ればいいんですが、いちいち箱から出してAC電源つないで、研磨ドリルを付ける手間がもう無性に面倒くさい(←最悪)。

ヤスリなら持ち替えるだけ。そしてやっぱり80番に手を出し「うわー、やっちゃった・・これは耐えられん・耐えられんぞぉ・・」とつぶやくことになる。凄い手間かけて下地処理をやってるのにわずかの手間を惜しんでの崖っぷち。でもそれが「自分という駄目男」。我々は機械ではない。時給いくらで働く中国のフィギュア工場のおばちゃんでもない。強制されぬ自由な作風を貫けば自然と人の本質が前面に出てきます。己の「心の弱さ」を再確認し、馬鹿さ加減にあきれ、悲哀を味わうのもまた素人模型の醍醐味。

「やっちゃ駄目だけどやらずにはいられない。」そんな「モア=デンジャラスな欲望」は心の底に誰しも隠しているのです。

リアルロボットアニメと言われたガンダムだってガンダムハンマーを宇宙で振り回し、豪快にやらかしてしまった。重力のない宇宙では「ガンダムハンマーをガンダムが回しているのか」「ガンダムハンマーを支点にガンダムが回っているのか」もはや区別がつかない。しかし、わかっていても回してしまったものはしょうがない。

ボコボコにされるのがわかっているのに毎度トップロープから「ドラゴン・リング・イン」してしまう藤波辰巳も、蹴り上げられるだけで一度も成功したためしのない「ロープに振ってからのショルダースルー」を飽きずに繰り出すジャンボ鶴田も「今度は決まるのかもしれない。」「もし決まっちゃったらどうしよう。」そんなかなわぬ願い、デンジャラスな誘惑に駆られていたことでしょう。

私も模型製作においては「わかっているけどやっちまった」という「デンジャラス=ミス」を永劫輪廻のように繰り返しています。でも、ミスの全くない模型作りなんてクリープを入れないコーヒーのようなもの。ミスを排除するより、ミスのリカバリーも模型の作業の一部と考え、前向きにやっていく。自分で自分をカタにはめるようなことはしない。

そう、お金をもらってやる「仕事」とは真逆の立ち位置にいたいんです。たとえ致命的なミスでSAN値が奈落の底になろうとも、仕事では決してやらない「己の快楽を第一に追求する」「己の欲望に自由に振る舞う」ことを大事にしたいと思います。人に売却するプロと異なり、アマは全てが自己責任。自分に跳ね返ってくる分には誰にも損害を与えません。

だんだん何いってんだかわかんなくなってきましたので話を戻します。

パーティングラインやバリを消したら、サーフェイサーを吹く前にパーツ全体に320番~400番くらいのスポンジヤスリをさらりとかけて「足づけ」という作業をします。キャスト表面を荒らして、塗装が食いつきやすくするのです。やっておかないと「皮剥の刑」「処される」確率が上がります。

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そんなに手間かかりませんし、足付けしながら消し残しのバリのチェックもできます。

一度さらっとサーフェイサーをかけますと消し残したパーティングラインが浮き出てきますので、再度下地処理を行って下地は完成です。

ちなみに先にも述べましたが、私は旧人類なのでサフレス塗装はいたしません。めっちゃサフ吹きますんで。

下地処理は大体こんな感じです。後は塗装と組立てですが、次回は最終章、組立について書いていきたいと思います。