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3年におよぶディアゴスティーニの大型木製帆船模型ビクトリーとの格闘を書いてきました3年殺しシリーズも今回で最後になります。

最後は帆船模型特有の作業。リギングについて述べたいと思います。リギングというのはマストを固定したり帆を展開しているロープを船体に取り付けていくこと。ピンセットを使ってわずかなスペースに紐を結んでいくんですが、とにかく神経を使う作業が続きます。仕事でヘロヘロになり、視力も衰えている現代のオジサンにはいささか酷かもしれません。

奥まっていて手が届かない部分はピンセットを駆使して、紐を結んで固定していくのですが、その度に息を止めて手が震えないようにするので、下手すると酸欠寸前になることも。

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また、製作過程でマストから伸びるシュラウドにラットラインをちまちま張っていく作業がありますが、このラットラインは「クラブヒッチ」という結び方をすることと指定されています。このクラブヒッチをビクトリーの場合なんと約2600回繰り返さなくてはなりません。ピンセットでただひたすら心を空しゅうして2600個もの結び目を作っていくのです。解脱して心が透明になる感覚になりますね。これだけの数になると気分はもはや人間織機。

500個目を超えたあたりから「精神と時の部屋」に入った気分になります。

「目標をセンターに入れてクラブヒッチ・・目標をセンターに入れてクラブヒッチ・・目標を・・・」

とブツブツうめきながらの単純作業に従事します。そこにもはや人格は必要ありません。正確な仕上がりを目指し、ただ緻密にピンセットを動かすだけ。

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自分的にこれらのリギング作業で「一番重要ではないか?」と思うことは、根気でも技術でもありません。ポジションです。大事なのは作業台や踏み台を作って適切なポジションを確保した上でやっていくということ。中腰などのつらい姿勢でリギングしますと最終的に腰をやりますね。絶対。

またリギングで精神的に一番きつかったことは途中で「メインマストの長さが違う」ことが判明して一から作業をやり直ししたことですかね。何でそれがわかったというと、ある程度号が進んでいくとビクトリーが完成した時に入れるケースを購入できるんです。で、そのケースの寸法を計ってみたらなんと自分のビクトリーが入らない。これでメインマストの高さがおかしいと判明した次第。調べてみると船体に完全にメインマストが刺さっていなかった。自分的には下までちゃんと刺してあると思っていたのですが、もう一押しが足りなかったのです。

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メインマストの高さが下げればシュラウドを含め全てのロープがたるみますので、これまでやってきた作業は全部パア。この時はもう全身から力が抜けたというか、「もうここで止めてしまおうか」とも思いました。これまで苦労して結い上げてきたリギングを外しながら、自分でも知らずに涙が流れていました。模型を作っていて涙が出たのははじめて。いや良い経験をさせてもらいました(笑)。

正直ここが自分にとってのビクトリー最大の山でしたが、気を持ち直して追加のロープをネットで購入してただひたすらリカバリーしました。もう最後は意地というか、諦めの悪さというか。それまでの模型人生で山と積み上げた失敗の連続が訳のわからない耐久性になっていたのでしょう。

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そんなこんなでようやく完成させたビクトリー。苦労はしましたが、その達成感、高揚感は他の模型では味わえないものです。今このブログを書きつつ、当時の艱難辛苦が思い出されて感無量。ただあまりのしんどさに「もうしばらく帆船模型はいいわぁ・・」と感じたのも事実であります。

来客の方々がビクトリーをみて「わぁーお」と言ってくれるのでインテリアとしても重宝されています。ガレージキットの美少女フィギュアには皆さんコメントしづらそうですが(笑)。

これまで四回にわたってビクトリー製作の顛末を書いて参りましたが、これで終了です。皆様今まで長い間読んで下さってありがとうございました。