ガレージキットのフィギュア製作で皆さんが一番大事にしていることってなんでしょうか?丁寧な下地処理?肌の質感や塗装の発色?完璧で精緻な組み上げ?などなど、人によって重要視する点は様々だと思いますし、趣味である以上、正解などないのだと思います。

ちなみに私はといいますと、とにかく1に顔、2に顔、3に顔です。「人形は顔が命」ともいいますが、フィギュアの顔の出来が抜群に良ければ多少のパーツの隙間や塗装ハゲなど大した問題ではありません。逆に顔がうまくいかなければ、自分にとって、その他の仕上げがいくら素晴らしくてもフィギュアとしては「魅力がない」ということになってしまう。

しかし、顔を描く際に最も困ることは、自分では「うまく描けている」と思うのに「実はまったく描けていない。」ということが往々にして起こっちゃうということです。私自身、昔は描いていて「最高の出来!!」などと思っていたイラストが、今見てみると見るも無惨にパースが狂っていたりということがあります。つまり、人間の目はこと自分の描いたものについては、なんとなく「よく見えてしまう」という錯覚に陥りがちということなのです。

塗装はまず顔や露出する肌から行い、とにかく「顔を似せるか合格ラインまで持っていく」ことに全ての情熱を捧げます。模型製作技術では素人同然の私が、通常のモデラーの方々となんとか肩を並べることができるのは、自身が長年漫画やイラストを描いてきたことで身につけた、顔描きの部分しかないからです。

フィギュアによってはどうしても原作に似ないこともありますが、その場合はフィギュアが原作に近い雰囲気をただよわせつつ、魅力的な表情をしていることが大事なんだと思います。まぁ自分の彼女にしたいような、側に置いておきたいような表情にもっていくことができれば最高です。

とはいえ、簡単に魅力的な顔を描けるのなら苦労はしません。自分にとってのフィギュア製作の魅力はなんと言っても、「顔描きのバランスの奥深さ」なのです。

写真のフィギュア。これはコトブキヤの「ヨーコ、テッペリン攻略Ver.」です。

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このキットは既に4回以上表情に手を入れています。はじめは「良くできたんじゃない??」と思っても、完成してしばらく経つうちに「ちょっと違うなー」「いや、こうした方が」「コノ表情もチガウ・・」などと悩み続け、チョコチョコと手を入れ続けているのです。パーティングラインやパーツの合わせ目などには鈍感力を発揮する私ですが、顔だけはダメなようです。

目の大きさが0.02ミリ違うだけで雰囲気は一変しますし、目尻の角度にちょっと手を入れるだけでも表情は激変します。かといって、手を入れすぎるとその過程で取り返しのつかないミスをしてフィギュアを台無しにしてしまう可能性もありますので、どこかで止めておかないといけないとは思っているんですが・・・きっといつか修正しすぎてダメにしちゃうんだろうなぁ・・そのような自分のキレの悪さ、あきらめの悪さに人としてのジレンマというか性というかそういうものを感じずにはいられません。

このフィギュアは珍しくもジオラマ仕立てにしてありますので、後日またご紹介させていただきます。