7年間でやっぱボロボロになってたんだな・・・車検整備が終わって戻ってきたダイナに乗って、そう感じました。

・・・「ちょ・・おま・・」ってツッコミたくなるほど、エンジンがメチャメチャ元気になってるじゃないの・・。

ダイナのエンジンは異音の修理と、カムのニードルベアリングを新品に交換し、カムチェーンテンショナーを取り替えた以外、チューニングしたとかはなく、特段何にも変わったところはないはず。でも、異音がする前と比べても明らかに動きが違います。

どのくらい違うかっていうと、「連日激務で睡眠不足、1ヶ月休みなしで疲弊状態」のサラリーマンが「長期有給で休養し、ユンケル黄帝液をがぶ飲みして復帰した」くらい違う感じ。

結局、機械も長年酷使すれば疲労は徐々に溜まっていく、その疲労が各部の動きを鈍くさせ、パワーを削るように奪っていくんですね。その蓄積疲労が今回一気に抜け、本来の動きがよみがえった・・。そんな感じです。

静かな怒り・下絵+1
(画面を持たせるためだけのイラストが挿入される意味不明さが私のブログの真骨頂。文章も駄目、ネタも腐ってる私のブログの個性ってこれくらいしかない。)

その見返りとして払った金額は、車検と修理費用の合計で386,402円。まさに経済的虐待。いにしえの「どおくまんのマンガ」みたいに「がび~~ん!!」と叫びつつ目玉がスプリングのように回転しちゃいそうですが、筋肉体操の「筋肉は裏切らない」という名言と同様、バイクにおいても「オーバーホールは裏切らない」

うちのディーラーにはM.O.T(マスター・オブ・テクノロジー)の称号を持ってる店長がいるので、整備については完全に任せ。M.O.Tってのは、料理でいう三つ星シェフで、突き抜けた知識と技術を持つ職人の頂点であるとハーレーが認定してる人。そこで働いている見習いメカさんに話を聞いても、相当やばいレベルみたいです。詳しくは語られておりませんが、整備マニアとか整備フェチとか、メカ愛爆発とか、もはやそんな感じなのかもしれません。

私が考える良いメカさんってのは、機械に対する豊富な知識と技術を持ちつつ、「バイクに悪いことは決してしない。」という人なわけで、安全な商品を売る義務があるディーラー系のメカニックならば、その部分もしっかりしていると踏んでいます。

で、肝心のエンジン異音の原因はというと、「バルブリフター」でした。(※一般にはタペットとも呼ばれてますけど、オーバーヘッドバルブのエンジンだとバルブリフターの方が表現としてしっくりくるので、このブログでは「バルブリフター」で統一します。)

イラスト+1
(とりあえずオーバーヘッドバルブのカムからバルブまでを図解した落書きレベルの超低クォリティのポンチ絵。少しは参考になれば幸いです。)

ハーレーは下方にあるカムからプッシュロッドを介し、シリンダーヘッドにあるロッカーアームを押し上げ、バルブを動作させる古くさいOHV(オーバーヘッドバルブ)。ロングストロークでエンジンが縦に長いこともあり、プッシュロッドもそれに比して長ーい。部品強度も必要なので、パーツは重く軽量化とは無縁。カムからバルブまでの長い距離を沢山の部品をバケツリレーのようにつなげてガチャガチャとバルブを駆動させている訳です。現在主流のオーバーヘッドカムに比べ、慣性質量と、熱膨張による寸法変化、高負荷時の変形が大きく、安定稼働させるにはそれによって生じるバルブクリアランスの変化を常時適正に補正する必要がある。これを上手く油圧で調整してくれてるのがダイナに組み込まれてる「ラッシュアジャスター付きバルブリフター」なのです。

まぁ簡単に言うと金属が熱変形して生じる隙間を油圧でうまく埋めてると思って頂ければわかりやすい。

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(こちらがTC96のバルブリフター。タペットとも呼ばれます。カムとプッシュロッドの間に入って油圧でクリアランスを調整してる。これがあるので、バルブクリアランスが常時適正に保たれている。)

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(プライマリー側のバルブリフター。これはカムと接触しているローラー。綺麗なもんです。それにしても「私とにかく丈夫ですからー」と主張するような、心地よい重量をしてます。一つ一つのパーツの存在感もハーレーの魅力ですね。)

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(こちらセカンダリーのバルブリフター。ローラー部分が焼き付き状態。アチャーって感じ。正常に動作していればこんなことにはならないですねー。)

で、取り外したバルブリフター、写真で見るとわかりますが、リア側のバルブリフターのローラー部分が広範囲に焼き付いています。いわゆる「かじり」というやつです。カムとの当たり面が油膜切れしちゃった可能性がありますね・・。この部品、プッシュロッドとカムの間に挟まってるため、メチャメチャ上下動しており、あんまり働かせすぎると伸びきった状態でギブアップしちゃって今回のようなトラブルになる。

なお、幸いにもバルブリフターに接触しているカムの方は問題がなかったとのこと。カムまで逝ってたら、修理費がとんでもないことになって、妻の目から発せられる「怒りの怪光線で爆散」していたと思いますので、これは不幸中の幸い。

ある時期から「ブローバイオイルの吹き戻しが多くなったなぁ」とは感じてはいたんですよ。エアクリーナーから出てくるブローバイオイルで後ろ側のシリンダーヘッドが汚れるくらいでしたんで、その頃からバルブリフターが伸びきって油圧調整が機能しなくなってたんでしょうね。バルブクリアランスが狂った結果、高回転域でバルブが正常に閉じなくなり、バルブとシートの間からガスと共にオイルが吹き戻していたと。

今回はガラガラ音が発生し、シリンダーが異常加熱するレベルになって、ようやく修理に出したわけですが、初期段階の不良のサインを「ま、いっか。ちゃんと走るしぃ~」と放置したため、こういう事態になってしまった。でも、正直ブローバイからオイル吹くっていう理由でエンジン開ける踏ん切りはつかないのでしょうがないですね。バルブリフターの修理を終えたら、ブローバイオイルの吹き戻しはほとんどなくなりましたので、すべての問題点がここだったことは間違いない。

そもそもハーレーのビックツインは構造的に高回転高負荷を維持するのは向いていないんです。だからハーレーで最高速域を延々攻め続けるなんてやっちゃダメ。いくらTCがエボに比べて高速に対応してるっていっても高回転領域で長時間動作するようには作られてない。だからノーマルはオーバーラップがまったくないカムを入れて高回転を押さえてる。チューンしてパワーが出てもノーマルで糞詰まる限界速度+アルファくらいで「心のリミッター」をかけるべきでした・・・。

吸排気の抜けをよくして高回転を限界まで回せば、その分負荷がかかって耐久性に影響が出る。高回転高出力のバイクがなぜオーバーヘッドバルブを諦めてオーバーヘッドカムになったのかを考えれば、そんなことは自明の理なんです。

実際ブン回してみると「虐待はやめろぉおおぉおぉおおおお!!」とエンジンが叫びだす。しかし、そこでさらに鞭打っちゃうから、ダビスタで重賞を連戦し、酷使した競走馬のように予後不良になってしまうのです。

でもね・・。男にはどうしてもやらなきゃならん時があったりするから・・すまぬ・・。

そんなこんなで、手荒いオーナーに責めさいなまれ続けていたダイナは片肺が上手く機能しない状態になってしまってたわけです。これまでダイナを「重い!走らん!!」とクサしてきましたが、この罵りがブーメランとなって眉間に深々と刺さってる。

静かな怒り2+2+1
(影と背景をつけて完成。「Dead or Die!」ってことですので、選択肢が与えられているようで実は「死ぬ」以外の選択肢はない(笑)。予後不良の片肺状態にされたあげく、ドン亀呼ばわりさてきたこれまでの経緯を考えますとダイナ嬢のお怒りは至極当然。「Fackin this pig guy」は「くそったれの豚野郎」ってところです。ちなみにアメリカ製のダイナなのに、担いでいるのはロシア製のドラグノフ狙撃銃のカスタム仕様。AK-47の時にも触れましたが、私ロシアの銃火器大好きなんですよね。)


「オマエ・・今までよくも好き勝手言ってくれたなぁ~(薄ら笑い)・・結局はオマエが原因じゃねーか!!この腐れ外道がっ!!死ねっ!!!死んで詫びろっ!!」

って感じの罵りと共に、ゲシゲシとキックの連打を浴びている気分です。

正直私のような馬鹿チンオーナーがバイクに対してやれることってのは「こまめなメンテと修理責任をまっとうしてやる」ことくらいなんです。今回の出費は私の荒っぽい乗り方の罰として当然の報いであると思う。トラブルによる出費が嫌なら、「機械に対していたわりに満ちたライダー」になればいい。でも、そんな割り切りができるクレバーな人は、むき出しで3桁のスピードを出すイカレたものには乗らないでしょう。

結局「自らの悪行の報いはすべて自分に帰ってくる」というのが、太古より続くこの世の摂理でありまして、それは機械の世界でも、人間関係でも、ビジネスでも何ら違いはない。少しばかりおイタをしようとすれば、それに見合った努力と対価がキッチリと要求される。

バイクの特性を無視した私のわがままで身勝手な走りは、バルブリフターという小さなパーツの犠牲によって成立していた。この結末を理不尽と感じるのではなく、「なるほどねぇ・・」と納得してしまうのは、私がそれなりに歳を取ったからなんでしょう。