「カタカタカタカタ・・・」

見附島でのソロキャンプ・・・海沿いのキャンプ場で朝起きてエンジンをかけたら今までになかったような嫌な音が聞こえる。金属が金属を叩く音。明らかにエンジン、それもリア側のシリンダーの上の方から聞こえてる。

「おいおい・・完全にバルブがヘッド叩いてんぞこれ・・。ひょっとして・・カムまわりが・・・逝ってしまったのか?・・。」

私は遠い目になりながら天を仰ぎました。空はあざ笑うような晴天で、リアシートにはソロキャンプの荷物が満載の状況。私はブリッピングでエンジンからガラガラと音を立てるダイナを前に血糖値が下がった爺のように力なく佇むだけでありました。

しばらく海を見ながら「うふふふふ」と変な笑いを浮かべて現実逃避していましたが、なんだかんだと頼りになるダイナがヘタレちゃうのは、「こういう快晴の日がぴったりかもしれんなぁ・・」と、なんとなく悟ったような心境でもありました。


「うーん、なかなかの音がしてますねぇ・・(笑)完全にエンジンですね。」


目の前でハーレーのメカさんが嬉しそうに話してる。顔は心配そうなのに声が嬉しそうなのは何故なのか?修理費ウハウハなのか??これが資本主義なのか??

パワーはそれなりに出ているので重傷ではないと思う。ただ、リア側のシリンダー出口の排気管が異様に熱い。マフラーに耐熱バンテージを撒いているにもかかわらず、ツーリング中にジーンズが焦げて穴が開いちゃったので、もう点火時期もズレちゃって相当薄い状態なのかもしれない。

ダイナ入院
(私のブログで延々続く、ダイナとF6Bのマウント争い。お互い棲み分けは出来てるんですけど、同じクルーザーとして、性格も在り方も対照的な2台ですので、マウント合戦もやむを得ない。今回から画像クリックで拡大されるようにしてあります。)

ハーレーのエンジンは単純でパーツ強度も高く、丈夫さが取り柄です。でも古くさいプッシュロッド式のOHVだから、本来は古くさいなりの使い方をしなくちゃならない。バイクのエンジンって「限界を引き出して走るのが是」とされているところがあるけど、昔の雑誌やマンガに植え付けられたそんな価値観は機械にとって迷惑でしかない。

ハーレーのVツインは国産のオーバーヘッドカムのように高回転を多用するような作りにはなってないし、バルブオーバーラップがないので、レッドまで気持ちよく回っていくわけでもない。ハーレーの高回転多用は「ナマケモノを全力疾走させる」ようなもので、そもそもが無理がある。

そんな中、私みたいに「ホイールベースが長く、クソ重いツアラーでタイトな峠を走るのが好き」という馬鹿がバイクに無理をさせている。私が好むツーリングコースは急勾配の道幅3~4メートルくらいの急な峠越えで、車重のあるハーレーでは下回りも擦りまくるし、登りでどうしても2速高回転域に入っちゃう。高回転域からの全閉もプッシュロッドという追従性に難があるOHVでは機械的なストレスの元になる。

でもそういう乗り方が好きなんだからしょうがない。乗り方なんて自由だし、バイクを勝手気ままに楽しむ権利がオーナーにはあるんです。

まぁ私的にはそんなに無茶させていたつもりはなく、シゴきまくってた訳でもないんですが、走るコースがコースなんで、やっぱりストレスは大きかったんだろうなと・・、今こうなってようやく自分の走りを振り返ると、この結果も「やむなし」でありダイナを責める気にはなれない。

どんな乗り方をしようと自由ですが、乗り手のライディングの個性によって生じる「機械的損耗」は受け入れなくてはならない「マシン帝国の掟」のようなもの。想定外の使用をした結果、想定外のトラブルに見舞われたとしても、それは乗り手の自己責任であることは誰しも異論はないでしょう。



「どうしますか?直しますよね??」

「そりゃ、直すよ。こんだけ手をかけたんだから、もうコイツと行くとこまで行くしかない(笑)。いくらくらいかかりそう?」

「まー開けてみないとわかりませんが、安くて7万。高くて20万てとこでしょうか?」

「ぶはーーーーっ!!。生き血すすりすぎだろォォォオオオオオオ!!」

昨年フロントサスのオーリンズ化とリアサスのオーバーホールに30万円ぶっ込んで、今回またエンジンのオーバーホールと車検で高額出費と、これはあまりにもムゴ過ぎるのではないか?

実はこのダイナはタイヤがもう3分山で、来年6月にはF6Bの車検もあり、F6Bに至ってはタイヤが1分山という、もう「巨大な火の車が花びら大回転状態で空から落ちてきて、もう地球も終わりダァァアァアア!!」な感じです。

将来の出費を想像すると、ハーレーディーラー前で「ロボコンパンチを繰り出しながら東西南北にメチャメチャ暴れ回った後、全力疾走のトぺスイシーダで犬神家のスケキヨさんのように大地にめり込んでしまいたい」気分になりましたが、この歳でそれをやると地元の精神病院に搬送され身体拘束措置を受けそうなのでやめました。

チキンウィング+3
(なんと、今回はイラスト二丁使い。バイクに無理をさせたあげく、高額出費で自らの首を絞めるというバイク乗りあるある。なお、このイラストは「チキンウィングフェイスロック」が描きたかっただけ。かけやすく、クッソ痛く、テコの原理で力もいらない。三拍子揃った素晴らしい絞め技ですが、今は使い手がいないですねぇ・・)

素敵なソロキャンプから地獄に落とされた状況ですが、機械っていうのは無限に動くわけではありません。「決して壊れないもの」とか「永遠に変わらないもの」というのは童話とかおとぎの世界の物語。どんな丈夫なバイクでも距離を走れば絶対どこかにヘタリや不都合が出てくるようになってます。

そして、不具合が出たとき、オーナーは「修理して復活させるか」「買い換えを考えるか」の重大な選択を迫られる。

その点でいうと、ハーレーは「修理して復活させる」ことを選択する乗り手が多いバイクでしょう。アメリカンクルーザーが一台あるとバイク生活とても便利なんで、足に一台はおいときたい。でも乗り換えようにもハーレーは車両価格が高く、投下した資本に見合う下取りはつかないので、おいそれと買い換えはできない。

カスタムもとらえどころのない養老チューン(養老チューンの定義はこちら→「養老チューン(バイクのカスタムに関する一考察)」)になってるので、同じモデルにパーツ移植するならともかく「新しいバイクでまた一からチューニングやるのかよ・・」と思うと、遙か遠い道のりに目眩すら覚える。

バイクというのは性能も大事だけど、「それをどこまで維持できるか」というのがなかなかに大事な要素だと思う。長く乗る人ほど、機械的信頼性を重視する傾向にある。その点、日本車は信頼性で非常に優れているから、皆日本車を選んでるし、それは大正解。

 一方、信頼性で国産に及ばないはずのハーレーの強みは「トラブルを乗り越えて維持しよう」と思わせる点。金喰い虫なので、それが「オーナーを財政的に幸せにするか?」は置いておいて、長いこと弄りながら乗ってると、壊れても「維持せざるを得ない」状況になってしまってる。

旅バイクでもあるハーレーは、時が経てば経つほど、使いやすい道具として乗り手と強固な関係を構築していくのですが、これがある一定レベルを超えるともう買い換えられない。私のハーレーも自分の嗜好を満足させるべく、沢山の仕掛けがしてあって、この10年で多目的に使えるように少しずつ手を入れてきてます。

走るだけなら、おそらくミルウォーキーエイトを積んだ新型のソフテイル・ローライダーの方がよっぽど走るでしょう。しかし、ツアラーのような旅バイクは「走るだけでは駄目」なのです。まず旅道具一式を積載するための仕掛けをしなくちゃならないし、長旅を快適にするためには、ポジションも乗り心地も走り味も自分好みにキッチリあわせないといけない。

購入した新車を「単に走るバイク」から「旅に使える道具」に仕立てるには、相当な金と時間と手間がかかるのです。

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(問題のダイナ嬢。今回はいくら求めてくるのか恐ろしい・・・。とにかく金がかかる点では私の所有していた歴代バイクで最凶の存在。)

ハーレーの一番の武器は性能ではなく、豊富なパーツで道具としての使い勝手を自由自在に盛っていけるところだと思います。そんなハーレーの策略に填まり、調子に乗って散々盛り付けてしまった結果、「あまりに楽になってしまって、もう着古したジャージ状態。どうにも替えが効きません。」ということになり、自分自身の首を絞める結果になってる。

なんだか弱みを握られて、フェイスロックで締め上げられ「金を出せ~!!」と脅迫されているような状況でありますが、これも我が身の至らなさ故なのでしょう。ええギブアップです。直します。直しますから、ハイ。

というわけで、ダイナ嬢は先週から修理中。修理費見積もりはまだ来ていません。どのくらいの出費になるのか・・大ヤケドにならないことを天に祈るのみであります。