久しぶりにガレージキットの製作ブログです。ブログの表題が「へっちまんの素人模型&モーターサイクル」なのに、ライブドアに移ってきてからというもの素人模型の部分が全然ありませんでした。しかし、ガレキ作りはバイクと並ぶ私の趣味。これからもコツコツと記事を書いていきます。それにしても、今回はかなり古いモデル。製作も古いです。

「今更こんなものを紹介するんか~い!!」

って感じですが、ガレージキットのストックが少なくなってきているので、もう年代物の骨董品を引きずり出すしかないのです。

で、今回引っ張ってきたのはWHITE ALBUM2の「冬馬かずさ」。ホワイトアルバムっていってもビートルズの名盤ではなく、リーフのエロゲーです(笑)。また、現在では「とうま」といえば「某禁書目録のイマジンブレイカー君」の方が有名ですが、「冬馬かずさ」は純然たる「恋愛ゲーのヒロイン」であります。

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(へっちまん作、ガレージキット冬馬かずさ。何で製作記なのに完結してるの?という方、その理由はこちら。それにしても、こんな美女にシバかれたいですね。)

ガレージキットの製作はVispo片桐さん。「お前片桐作品ばっかりやな!」と言われてもしょうがない。片桐作品愛好者ですので。

WHITEALBUM2は2011年に終章を迎えましたので、これ多分2012年のワンフェス夏くらいの販売だったはずです。もう7年前のキットなんですねぇ。

作品を語る前に、この冬馬かずさというキャラについて少し書いておきますと、スタイル抜群、モデル並みの美貌をもち、ピアノの才能は超一流。ここまでは非の打ち所はない。しかし、その他は全くダメ。ピアノを弾く以外では何ら生活能力がない。その駄目さによるコンプレックスにより、他人を遠ざけ、孤独な不良となり、いろいろ吠えるけど、結局一人では生きていけず、男にメロメロに依存していくタイプです。

一見有能な感じはするけれども、「お庭番の全くできないシェパード」のようなイメージでしょうか?つまり、ツンデレならぬデレツンキャラといえるでしょう。しかも、「どこまでも懐いてくるし、ずっとご主人様しか見えてないっ!」という忠犬キャラです。

この冬馬かずさ、序盤から完全に主人公にベタ惚れで心は忠犬となっていますが、プライドの高さ故、そんなそぶりは一切見せません。その人を近づけない素行から一般のモブ男には高嶺の花に見えるところが悲劇を招きます。友人であり、もう一人のヒロインでもある雪菜に先に主人公に告白されてしまい、いい仲になったと気づいた時点で、傷心のまま主人公から遠ざかります。

しかし、終盤にふとしたきっかけで、主人公と両思いであったということが判明し、主人公の下半身の定まらなさも手伝って、雪菜との三角関係はクッソ重くなっていきます。WHITEALBUM2は軟派な恋愛ものと見せかけて、その重さがヤバい作品だったわけです。


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(ゲームのグラフィックの冬馬かずさ。当時の典型的なPCエロゲーの色使いとキャラデザです。私の冬馬かずさのイメージとはいささか解離がある。こんなスッキリした素直なキャラではありません。)

この「冬馬かずさ」は自らが発散するフェロモンに全く自覚がないという魔性の女。自信がないが故にあっさり主人公を取られ、身を引きますが、最後に全てをひっくり返すだけの爆発力を持っていた。まぁ現実でもいますよね、無自覚に男を振り回す女性っていうのは。

良く「女の武器」などといいますが、それを自覚していれば、その武器を旨くコントロールするので秩序は破壊されない。もう一人のヒロイン雪菜はこのタイプで、結構計算高く、したたかです。しかし、真の悲劇は自身の「魔性っぶり」にまったく無自覚で、その使い方もわかっていない冬馬かずさの「天然ギガドリルブレイク」によって引き起こされる。その破壊力は絶大で、周囲の現実を吹き飛ばし、人間関係を崩壊させ、人生を歪ませ、婚約すら破棄させる。この女一人でストーリーをずいぶん重くしているといっても華厳の滝ではありません。

まぁ、兵器にしても大型バイクにしても、「大出力の制御方法を知らない」というのは恐ろしいことであります。

このような恐るべきスーパー駄目人間かつナチュラルなデストロイヤーであるにもかかわらず、「冬馬かずさ」というキャラは非常に人気があります。それはおそらく、「超天才美人だけれども、自分がいないと何もできないという女性に依存されてみたい」という男の欲求故でしょう。奈落の底に落ちるとしても、刺激優先、快楽優先。

・・・・男というのは実に愚かなものですね。

このガレージキットはWHITEALBUM2の前半の山場、学園祭でのワンシーンをキット化したものです。この頃は物語はまだ重くなく、爽やかな学園祭が展開されます。冬馬かずさは制服以外で派手な服装は物語中あまり着ることがなく、唯一ガレキ映えするのがこの学園祭の衣装なんですね。

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(ちょっと拡大してみました。スケールが1/6と大きく、服も黒一色ですので、塗装は楽だった記憶があります。でもガレキがデカいと下地処理の面積も大きくなるので、それはそれで大変。)

このガレキの魅力はなんといっても、いつも通り造形に甘さがないところ。なんせ出自がエロゲーのヒロインなわけですから、露出の多いエロティックな衣装着せて、甘く作ると非常に扇情的なあざとい世界に入ってしまいます。しかし、私はどうもこのあざとい世界が苦手。

露出を高めながらも「下手に近づくと火傷するぞ」という、媚びない表情が、片桐作品全般の魅力といえます。あと、腰回りの造形と全体のバランスの素晴らしさは全ての片桐作品に共通するところ。ここも評価ポイントです。また、小道具としてのサックスの造形が素晴らしく、これもこの作品をキリリと引き締めてますね。

片桐さんはこういう小道具使いも実に旨いっす。

それでは、次回からバイクのブログの合間に、この冬馬かずさの製作記をボツボツ書いていくことにしたいと思います。